銀行からの融資やそれ以外の営業に対し、どのようなスタンスを持っておくとよいか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
融資営業へのスタンス
銀行も一般企業と同様、より商品(融資)を売るべく営業目標があり、それに伴い、銀行の営業担当者から営業アプローチを受ける場合があります。
これはあくまで銀行の都合・タイミングで営業しているに過ぎず、ついつい無下にしたり、いつでも融資を受けられるものと思い込んでしまいがちですが、いざ業績が悪くなってからであると(こちらが資金が必要なタイミングになると)、逆に銀行も返済能力の観点から融資対応はしづらくなってしまうのが実際です。
融資営業を受け入れるかどうかの目安
そのため、銀行が貸したいシグナルを出しているのであれば、借りやすい機会であると捉え、無下にせずに検討していきたいところです。
とはいえ、無用に借金する必要もないものです。
目安として、「手元現預金が平均月商の3ヶ月分(できれば6ヶ月分)超あるかどうか」という視点を持っておき、目安以下であれば、困る前の借りやすいときに借りておくということも、前向きに検討しておいたほうがよいと考えられます。
断るとした場合の留意点
もし手元資金が潤沢で融資営業は断ろうと思う際でも、「融資条件」は確認しておくとよいと思われます。
既存融資と融資条件を比較するという視点です。
- 金利
- 担保・保証の有無
- プロパー融資か保証付き融資か
相手が貸したいというタイミングであれば、よりよい融資条件の提示を望むこともできます。
それをもとに、既存の融資銀行と融資条件について話すこともできます。
もし仮に既存融資よりもよりよい融資条件で借りることができれば、この条件を基準に次の融資を交渉することもできるという余地も生まれてきます。
融資以外の営業へのスタンス
銀行の商品は融資だけではなく、定期預金・クレジットカード・投資信託・生命保険・損害保険なども取り扱っており、それらの営業を受けるという場面も考えられます。
これらへのスタンスについては、「必要性・メリットがなければ断る」でよいと考えられます。
融資が受けにくくなるのではないかという懸念もあり、可能性はゼロではないものの、そこまで大きな影響力はないと考えられています。
(あくまで融資の受けやすさは、「決算書」「試算表」のウェイトが重いため。)
仮に営業担当者にその場で貸しを作ったとしても頻繁な人事異動のなかで立ち消えになってしまうことも考えられ、他の取引銀行の不満を誘う可能性も考えられます。
断るとした場合でも、次につながるような断り方をしておいたほうがよいものと思われます。
「今すぐは必要なさそうですが、検討して必要と感じたらご相談するようにします。」など。
仮に、これまで取引のない銀行からのアプローチ(飛び込み営業など)である場合であっても、無下にはせず、次につながるような断り方をしておきたいところです。
- 挨拶・名刺交換はしておく(いずれ融資の相談をしたいときに備えて面識は作っておく)
- 決算書を求められれば見せ、「よいご提案があればお願いします」と振っておく
- 融資提案があった場合は検討してみる(新規取引では融資条件がよくない場合はあるものの取引実績を作ってから条件交渉すると考える)
- 「他行の肩代わり」という提案の場合、慎重に構える(既存銀行との関係性も十分に考える)