銀行融資において、事業性評価という言葉を耳にするようになり、どのようなものなのか知っておくとよさそうです。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
事業性評価とは
- 事業性評価とは、財務データや担保や保証に依存せず、事業内容や成長可能性を評価するという考え方
- 最近、金融庁が銀行に対して求めるようになってきている(特に2019年金融検査マニュアル廃止以降)
- 銀行も、事業性評価に取り組まざるを得ない状況になってきている
- 銀行格付において、定性評価の加算要素となる可能性のあるもの
- 定性評価は曖昧なため活用できずにいたが、事業性評価は基準がある程度具体的で取り組みやすくなっている
- 決算書の内容が悪くてもよくなったわけではなく、依然として、よいに越したことはない
- 融資先へのヒアリングが必須になるが、借りる側である融資先に抵抗感があり、評価がなかなか進まない現状がある
- 事業性評価に興味を持つのは、決算書以外に加点を見出したい(=決算書がよくない)融資先が多く、銀行もなかなか進めきれない
事業性評価で活用するツール
事業性評価で活用するツールとして、以下が挙げられます。
- ローカルベンチマーク
- RESAS
- まち・ひと・しごと創生総合戦略
ローカルベンチマーク
- 2016年3月、経済産業省によって公開されているツール
- 企業の財務状態・経営状態の健康診断ツール
- 事業性評価を推進するツールとして活用が期待されている
- 補助金申請にも使われるようになっている
- 財務情報+非財務情報
- 同業他社比較ができる
- 業種基準値との比較で、強み・弱みが分かる
RESAS
- 地域経済分析システム(Reginal Economy Society Analyzing System)
- 地域の産業構造、人口動態、人の流れなど
- 官民のビッグデータを集約・可視化するサービス
- 2015年、経済産業省・内閣官房によって運用開始されている
- 9つのマップ、86のメニューあり
- 現状把握(外部環境・内部環境)
- 地銀に対して、地域での存在感・貢献度をアピールできる
- 人口構成、人口メッシュ・将来人口メッシュ、全産業の構造、年間商品販売額、一人当たり賃金、外国人訪問分析、流動人口メッシュ
まち・ひと・しごと創生総合戦略
- 2014年、2019年、2022年の閣議決定に基づく
- 地域の方向性と自社の方向性が一致させれば、地銀へのアピールになる