新規融資を受けた後の展開として、どのようなパターンが考えられるか。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
目次
融資メンテのバリエーション
新規融資を受けた後の展開としてどのようなパターンが考えられるのかを知っておくことで、どのようなときに銀行にはどのように相談すればよいかが分かるようになります。
- 折り返し融資
- 短期継続融資
- 一本化する
- プロパー融資を引き出す
- 金利を下げる
- 経営者保証・担保を外す
- 資本性借入金
- メインバンクを見直す
- リスケジュール
③一本化する
借入契約が複数に散らばっていると、それぞれ月返済額があることで月の資金繰りを圧迫してしまうことから、借入契約を一本化できないか検討したいところです。
- 簡易キャッシュフロー(税引後利益+減価償却費)が年間返済額よりも低くなっている場合、手元資金が減っていくことを意味する
- 借入契約が複数に散らばっている場合、それぞれの返済分があるため負担が重い(返済スピードは早い)
- 一本化すれば、月返済額は軽くなるが、返済スピードは落ちる
- 借入金一覧表を作成し、俯瞰する
- 一本化する=借入期間が伸びる、という意味でもあり、回収不能リスクが長引く分、銀行が一本化を嫌がる場合もある
- 業績がよいときであれば、銀行の不安も少ないため、一本化に応じてもらいやすくなる
- 業績がよければ、既存の保証付き融資をプロパー融資で一本化してもらう、という選択肢も交渉しやすくなる(保証協会の保証枠を空けることができる)
- 業績が悪いときであれば、保証協会の借換保証制度を活用する
- 他行分もまとめて一本化する場合(他行肩代わり)、その他行の借入が突如なくなる分、関係が悪化する(切れる)ことがあるためくれぐれも留意が必要(資金調達の選択肢が狭まる)
- 他行肩代わりは、基本的にハードランディングになりがちなので、できるだけソフトランディングさせるよう心がける
- 他行分がプロパー融資である場合、一本化後の銀行融資もプロパー融資でないと釣り合わないと考えられる
- 一本化する場合、他行分の繰上返済時に違約金が発生しないか確認が必要
- 一本化する場合、不動産担保設定のやり直しをするときには、登記をやり直すための実費が発生する
- 他行肩代わりを提案された場合、その提案にはすぐ乗らず、条件面(金利、担保など)を確認を行ったうえで、いったん既存借入れ先にも提案を求め、義理を果たす
- 他行肩代わりを行うこととした場合、既存借入先には、”今回だけは肩代わりせざるを得ないが、今後は肩代わりしない”とフォローを入れておく