経営者にとって、既存事業のみならず、”次の事業を創る力”も必要とされる力です。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
経営環境の変化に合わせる
経営環境は時代とともに変わっていき、市場・お客様の要求・お客様の価値観は変転していきます。
経営者は、既存事業に加えて、時代の流れに沿って新しい付加価値を産み出す「次の事業」を創る力が必要とされます。
新事業は長期間に及ぶことも多く、未来のことゆえ成功も失敗もしながら育ててゆくものであるがゆえに、社員任せにすることができず、経営者自身が担うべき業務になってきます。
「モノ」「ヒト」への先行投資状況
「次の事業」を創る試みは、常に行っていく必要があります。
既存事業をこれまで通りにやっていても付加価値は少しずつ圧迫していくことが多いため、これは経営者としては避けることができないものともいえます。
新しい事業への先行投資が行えているかどうかを客観的に見つめるには、「モノ(設備)」・「ヒト(新しい分野の人材)」への投資状況を過去数年並べて見ることで、分かることがあります。
「カネ」の運用方法として、もっと思い切ってもよいものか、やや絞らなければならないか。
新事業は未来のことでもあり、リスクの伴うことでもあります。
最初から成功する可能性は低く、それなりの失敗も覚悟する必要があります。
その前提に経てば、以下のような方針で試みるのがよいといえます。
- スモールスタート(最初はできるだけコストをかけずに小規模にやって様子をみる)
- 脱完璧主義(構想や会議ばかりせず、思いつくことを実験的にとにかくやってみる)
お客様層が同じ新事業、お客様層が異なる新事業
ひと言で「次の事業(新しい事業)」といっても、大まかには、以下に分けられます。
- お客様層が異なる「次の事業」→まったくの新しい事業
- お客様層が同じ「次の事業」→現事業から派生した事業
もちろん、②の方が、格段にローリスクであることは言うまでもありません。
それには、「現にお客様がお金を払ってくれているという事実」という観点から改めて見つめ直し、現事業のなかで、”たとえどんなに小さなことであっても、まったくの現況とは異なる部分で、お客様が支持してくれていることがないかどうか”、常に探し続ける姿勢が必要とされます。
その小さな芽から、次の付加価値ある事業が生まれる可能性もあります。
これまでとまったく異なるお客様層となる事業のなかで探すよりも、お客様層が同じである足元の現事業のなかから探す方が、よりローリスクで、より確実であるといえます。