”お客様目線が大事”といわれつつ、なれない理由を考える

よく”お客様目線が大事”といわれますが、なぜお客様目線になれないのか。

岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)を参考に。

目次

なぜ、お客様目線が必要なのか

よく”お客様目線が大事”といわれます。

そもそも、なぜ、お客様目線が必要なのか。

経営が改善していこうと思うとき・よりよくしていこうと思うとき、まず重要なのは「売上を上げること」ということになります。

どうすれば売上が上がるのか。

その厳然とした事実として、「お金(売上)は、お客様の決定によってしか入ってこないこと」ということがあります。

お客様が決定してくれてはじめて、売上が上がるということになります。

また、時代背景として、モノ・サービスが不足していた時代には”作れば作るほど売れる”という状況でしたが、モノ・サービスがある程度充足し、かつ、好景気とはいえない状況においては、”お客様はそもそも何かを買いたいとはあまり思っていない”というのが現実があります。

そのようななかで、どうすれば、お客様は決定してくれるのか。

そこに、必然的に”お客様目線”が必要ということになります。

また、売上を上げる喫緊の必要性を感じなくとも、お客様の関心・好み・お困りごと・嗜好はたえず変化していきます。

その変化に確実に対応し、売上を維持拡大させていくためにも、お客様目線はやはり必要ということになります。

なぜ、お客様目線になれないのか

では、なぜ、お客様目線になれないのか。

岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)で述べられていたこととして、以下が挙げられます。

すべてのお客様を満足させようとしてしまっている

お客様の好みは複雑化・細分化しています。

老若男女すべてのお客様を等しく満足させる商品などはない、といっても過言ではないといえます。

”お客様を絞る”ことは経営者にとっては難しい判断ではありますが、誰にとっても引っかかりのない中途半端な商品・サービスを出し、結果、誰の目にも止まらないのであれば意味のないものとなります。

”買ってくれれば誰でもいい”というスタンスは、結果、誰の役にも立てず、誰からもあまり必要とされず、誰の目にも止まらない、といったことにもなってしまいます。

お客様と直接、話をしていない

お客様と直接話をしなければ、お客様の気持ち(=決定の心理)に触れることができません。

お客様の疑問に答えたり、不満に答えたりすることができなければ、お客様の目線を理解することは難しいものです。

たとえITやAIがどれほど普及したとしても、購入の決定権を人間が握っている以上は、”人の気持ちをつぶさに知るというプロセス”は必要不可欠であることは明白です。

”つぶさに知る”とはネットアンケートなどで言語化されたことにはとどまらず、言葉にならないお客様の情報(あえて言いたくないこと、声、表情など)をも含まれていると考えたほうがよいと思われます。

無意識に売り手側の都合を優先してしまっている

”なんとなく”売り手側の都合を優先してしまっていること、探していくと、あったりするものです。

岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)で挙げられていたのは、飲食店の爪楊枝。なんとなく売り手側の都合で補充の回数を少なくするために目一杯入れてしまっていることがありますが、単純に、使う側(お客様)からすると、おそろしく取り出しにくくなっていることがあります。

買う立場になったときの気持ちと別物と思ってしまっている

誰しも、常に売る側の立場ではないものです。

生きていく限り、何かを買って消費して生活しているわけで、幾度となく買う側の立場になっているものです。しかしながら、なぜか、いざ売る側となると、まったく別個のように思ってしまっています。

買う立場でいて少し関心を持ってみると、”このような売り方はいいか”・”このような売り方はよくないな”といった目線で様々な参考事例を見ることができます。

データしか見ていない

データは大事なものですが、データで得られる情報というのはわずかなものです。

そのわずかな情報からあれこれと推察してみても、的はずれな決定しかできない場合がほとんどです。

プロ目線になってしまっている

誰しも、売る側の経験が積み上がれば積み上がるほど慣れていってしまい、”プロ目線”になってしまうものです。

知らず知らずのうちに専門用語だらけで話してしまいますし、”相手は知っている前提”で話してしまいがちです。

誰がお客様なのかが曖昧

打つ施策が、自社のお客様の要望・希望に本当に叶うものかどうか。

”誰が自社のお客様なのか”が曖昧であると、打つ施策も的外れなものになってしまいます。

はじめの一歩は足元にある

では、お客様目線になるにはどうしたらよいのか。

その際、なぜかツール・難しい理論・設備・テクニックなどに目を向けることがありますが、そのような難しいことは必要はなく、シンプルに「お客様に聞けばよい」ということになります。

岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)から言葉を借りると、

~「お客様目線」ということに関して、私たちは心理学者ではないので、想像する必要もないのです。
ただ、実直にお客様の話を聞いて、それを実現しようと努力するだけ。だから、大成功のためには才能なんていらないし、誰にだってその気になればできることなのです。

岡本達彦著「お客様目線のつくりかた」(悟空出版)より

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