経営者の仕事は「決定すること」といわれますが、その決定を行うためにすべきこと。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
”未来のために決定すること”の重さ
経営者の仕事は、「決定すること」であるといわれます。
しかも、それは、”会社の未来のための”決定です。
しかし、つまるところ、未来のことは誰にも分からないものです。
確実に未来がうまく方法などということはありませんが、その可能性を高めるための原理原則というものは分かっています。
責任の重さと向き合う
”未来のための”決定とは、その言葉以上に、責任の重さが伴います。
その責任の重さと向き合うのが経営者であると分かっていても、人間である以上、どうしてもその重圧から逃げたくなるときもあります。
人間が決断の責任の重さを回避しようとしたとき、出やすい行動の傾向というものは分かっています。
他人の意見・助言を、自分の決定としてしまう
自ら決定をするために、他から意見・助言を集めることは有用です。
しかし、それを、そのまま自らの決定とすることは避けるべき行動であるといえます。
うまくいかなかったときに他責となってしまい、先がなくなってしまうためです。
社内に丸投げしてしまう
同様に、決断も実行を丸ごと社内に丸投げしてしまうことも、避けるべき行動といえます。
あくまで決断は経営者の仕事であり、実行のみが従業員の仕事であって、決断まで従業員に投げてしまうと、同じく他責になってしまいます。
”お客様に聞く”を端折らない
自社の商品が受け入れられるかどうかは、唯一、お客様だけが知っています。
お客様に直接聞くよりほかないのです。
お客様のお困りごとは何か?要望は何か?
実績が積み重なれば積み重なるほど、見栄が出来上がってしまい、お客様に直接聞けなくなってしまいます。
あるいは、自分の目・耳で直接確認する努力を怠り、営業など従業員の報告のみで決めたりします。
特に、新商品・新事業を検討していたりしていると、なんとなく、これまでの自身の自信や実績から自分の好みだけで決めてしまおうとするときがあります。
また、お客様ではない周囲の意見から決めてしまおうとするときもあります。
しかし、これらの場合、いざうまくいかなくなったときには、広告宣伝が悪い、営業が悪い、デザインが悪い、景気が悪い、作られた口コミを仕上げてみようか、などの悪循環に陥り、果てには、良さがわからないお客様が悪い、などというところまで行ってしまうこともあります。
そう考えると、中小企業の場合は特にですが、やはり経営者自身で、お客様に直接お困りごと・要望を聞いて周り、細かなところ少しずつ整えて改良していくことで、商品を仕上げていくということが、外すことのできない基本なのだろうと思われます。
”期限”を決める
「損切り」という発想も必要になってきます。
特に新商品・新事業の場合、うまくいかないことも十分考えられます。
その場合、「いつまでやるか」「赤字幅いくらまでやるか」といった基準を決めてスタートするということも重要です。
自身の肝煎り事業だと特に、そういったことから避けたくなりがちです。
しかし、それを最初に決めておかなければ、より振り上げた拳を収めることができないため、ズルズルと赤字を出し続け、会社の体力を奪うことにも繋がってしまうのです。