昔に比べて物が豊富になったと言われて久しく、生活環境も随分と変わってきました。
物が豊富になって変わったこと・変わらないことを知ることで、事業のあり方のヒントになりそうです。
河合隼雄「こころの処方箋」(新潮社)を読んで学んだこと。
物が豊富でない環境
物が豊富でない環境においては、”物そのもの”で心情を表現することが可能ともいえます。
例えば、親は子どもに物を買うことによって、愛情を表現することができます。
事業においても、とにかく物を作ればそれは必要とされ、売上を上げることができました。
物が豊富になって必要になったこと
昨今では、物は豊富になり、例えば、親が子どもに物を買ったとしても、必ずしも、昔ほどにはそれが愛情表現と受け取られるわけではないという時代になっています。
つまり、”物そのもの”に加えて、その”物”にまつわる思い、過程、体験などをより明確に表現し、相手に届けれなければいけないようになっています。
大抵のものが、なんとか手が届く程度の努力・忍耐をすれば手に入るようになってきているので、獲得のために必要に迫られて躍起になって自発的にあれこれ行動を起こす、というシーンが少なくなっているのです。
物が豊富になっても変わらないこと
物が豊富になったことで変わったこともあれば、変わらないこともあります。
「欲しいと考え、自発的に行動を起こし、努力や忍耐によって獲得するということはやりがいがあって楽しい」
ということです。
昔であれば、欲しいものを何とか得るために、それを持っている人に対して、苦心惨憺あの手この手で交渉し、借りることができたことの喜び・達成感などです。
今でも、物という分かりやすい指標に限らず、自分がこうありたいという理想・目標を設定し、それに向けてアイデアを捻って、行動を重ね、遂に達成したという「体験」によって、楽しさを感じることができます。
その意味でも、自分にとっての理想的な状態・目標をまずは持ってみることは、楽しく生きていくために必要なことだろうと思います。
そして、それを達成するためにアイデアを出し、行動し、得るというプロセスを繰り返すことによって、成長していくことができそうです。