2024年12月20日、Googleは、12月11日にまずは英語版でリリースした「Deep Research」について、日本語などの言語にも対応が完了したとしてGemini Advancedでの利用が可能になりました。
英語版リリース時点で”すごい”と評判のGoogle「Deep Research」、具体的にどのようなことに使っていけそうか。
Google「Deep Research」とは?
2024年12月11日、Googleは、最新のAIモデル「Gemini 2.0」の発表とあわせて、新機能「Deep Research」英語版を発表しました。
Gemini Advancedの機能として搭載される形で、ユーザーの指示に従い、役立つ情報をインターネット上から収集してくれる機能で、さらに収集した情報を分かりやすいレポートにまとめて出力してくれるというものです。
英語版ですでに”すごい”と評判のこの機能、2024年12月20日には、日本語などの言語にも対応し、日本語版でも使えるようになりました。
「Gemini 1.5 pro with Deep Research」でできること
Gemini Advanced(個人版Geminiの有料版)の機能のひとつとして搭載されており、「Gemini 1.5 pro with Deep Research」を選択することで、すぐに使用することができます。
従来の生成AI(ChatGPT、Claudeなど)では、最新の情報や専門的な知識に関する質問に答えることが難しい場合がありました。
このため、検索特化のAIとして、Felo、GenSpark、Perplexityが存在していました。
そして、これに対して、最近では、ChatGPTがSerarch機能を搭載したりといった動きがありました。
ここで、Googleも、満を持して、Geminiにその検索機能を大幅に強化させたモデルである「Gemini 1.5 pro with Deep Research」を出してきたという形です。
Deep Research機能は、インターネット上の膨大な情報の中から、ユーザーの質問に関連する情報を瞬時に探し出し、信頼性の高い情報源を優先的にリサーチ・分析したうえで、リサーチ結果を生成します。
例えば、以下のような多岐にわたる情報源から順に収集し、ユーザーに提供するとされます。
特に信頼性の高い良質な情報源から選定できる点は、GoogleのSEOスコアリングを活用できているからではないかともいわれています。
また、Youtube動画も情報源とする点もGoogleならではの強みといえます。
- 公的サイト
- 信頼性の高いサイト
- 企業の公式ウェブサイト
- Youtube動画
- 最新の論文
しかも、Deep Researchは、単に情報を羅列するだけではなく、
- 複雑な情報を分かりやすく要約
- 複数の情報源を組み合わせて、多角的な視点から推論して回答をまとめる
- 情報源を明記し、情報の信頼性を担保
といった高度な処理を行います。
ユーザーはより深く、より正確な情報を効率的に得ることが可能になるというものです。
検索のGoogleが、本気を出してきた感が窺えます、、
実際に使ってみた①
例えば、以下のような依頼をしてみました。
長崎県における観光客増加のための施策を調査してください。
ものの3分ほどで、71件もの公的で信頼性の高いWebサイトを中心に、情報をまとめてくれました。
さらに、この情報をGoogleドキュメントに整ったフォームとして出力することができます。
す、すごい、、
事業活用においても、すごい威力を発揮する
Deep Research機能は、多岐にわたるリサーチ業務を効率化することができ、事業においても、間違いなくその成長を力強く後押しするとイメージできます。
例えば、以下のような場面で活用シーンが考えられます。
市場調査
- 新規事業のアイデア創出
- 特定の市場における成長分野、競合他社の動向、顧客ニーズの変化などを分析し、新たなビジネスチャンスの発掘を支援することが可能
- 例:「日本の高齢者向け市場における成長分野と、成功しているビジネスモデルを分析して」と指示を出すと、市場の現状と将来展望、主要プレーヤー、顧客ニーズなどを詳細に分析したレポートの作成が可能
- 競合分析
- 競合他社の製品・サービス、マーケティング戦略、顧客ターゲティングなどを分析し、自社の競争優位性を強化するための戦略立案を支援することが可能
- 例:「競合他社X社のマーケティング戦略を分析し、自社との比較、および改善点の提案をして」と指示すと、競合の強み・弱み、差別化ポイント、顧客セグメントなどを分析でき、自社のマーケティング戦略に活かせるインサイトの提供を受けることが可能
- 顧客分析:
- 顧客の属性、購買行動、ニーズ、満足度などを分析し、顧客ターゲティング、製品開発、顧客満足度向上のための施策立案を支援することが可能
- 例:「自社製品Aの顧客満足度調査の結果を分析し、顧客満足度向上のための施策を提案して」と指示することで、顧客満足度と製品属性、顧客セグメント、競合製品との比較などを分析し、具体的な改善策の模索が可能
経営戦略
- 業界動向調査:
- 業界全体のトレンド、規制、技術革新などを分析し、将来のリスクと機会を予測し、事業戦略に反映させることが可能
- 例:「再生可能エネルギー業界における最新の政策動向、技術革新、市場トレンドを分析し、今後5年間の業界展望を予測して」と指示することで、業界の現状と将来予測、リスクと機会、主要プレーヤーの動向などをまとめたレポートの作成が可能
- M&A戦略:
- M&A候補企業の財務状況、事業内容、市場シェア、競争力などを分析し、M&Aの可否判断、買収価格の算定、PMI戦略の立案を支援することが可能
- 例:「企業Xの買収を検討しており、財務状況、事業の将来性、買収によるシナジー効果を分析して」と指示することで、企業Xの企業価値評価、リスク分析、買収後の統合プロセスに関する情報提供を受けることが可能
製品開発
- 技術調査:
- 最新技術、特許情報、研究開発動向などを調査し、新製品開発、既存製品の改良、技術戦略の立案を支援することが可能
- 例:「次世代電池技術に関する最新の研究開発動向、特許情報、市場トレンドを調査して」と指示することで、有望な技術、競合他社の開発状況、市場におけるニーズなどを分析したレポートの作成が可能
- ユーザーニーズ調査:
- ターゲットユーザーのニーズ、嗜好、行動などを分析し、製品コンセプトの策定、プロトタイプ開発、マーケティング戦略に活かすことが可能
- 例:「20代女性をターゲットとした新スキンケア商品の開発を検討しており、ターゲットユーザーのニーズ、嗜好、購買行動を分析して」と指示することで、市場調査データ、ソーシャルメディア分析、アンケート調査などを活用し、ターゲットユーザーのプロファイルの明確化が可能
実際に使ってみた②
事業活用を見据え、次は、架空の新事業展開として、以下のような依頼をしてみました。
私は、日本の長崎県で、アメリカのMilk Barを意識したベーカリーを展開したいと考えています。
競合他社と思われるベーカリーをリサーチし、かつ、その各社のマーケティング戦略を分析し、自社がどのような進出の方法が考えられるかまとめてください。
同じく、ものの3分ほどで、30件ほどのWebサイト(競合と思われるサイトや人口動向が分かる公的サイトなど)を中心に、情報をまとめてくれました。
競合どころか、トレンド、進出方法の検討案、進出にあたっての具体的ステップなども詳細に分析されたレポートになっていました。。
驚愕です。
もちろん、ここからしっかりとした補強は必要だとは思いますが、3分ほどでできるたたき台としては十分すぎるほどと思われ、事業の現場で即戦力で使うことができることを実感しました。
使用感まとめ
Deep Research機能、前評判通り、すごいインパクトでした。。
ただインターネット上のWebサイトをたくさん検索してまとめてくれるだけではなく、そこから分析や推論をGeminiがばっちりと加えて、ものの数分でリサーチレポートがまとまります。
事業計画のたたき台を作ることもできますし、他にも実に様々なことに使用することができるという解像度の高いイメージを持たせてくれます。。
ChatGPTも、来年には「o3」を本格リリースするということで、来年は本格的に世界が大きく変わりそうな気が、、