他人と思いを共有し、進んでいくために必要なことは、議論よりも「Yes」を積み重ねること。
D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)を参考にして。
議論しても、相手は変わらないことが多い
他人と同じ方向へ歩んでいきたいと思うとき、どのような方法を考えるべきか。
議論して論破し、分からせれば、他人と同じ方向へ歩んでいくことができるかといわれると、そうともいえません。
むしろ、議論して論破しても、短期的には効果はあるものの、中長期となると、お互い思いを共有して歩んでいくイメージはやはりできづらいように思います。
議論をすることで相手がひとたび逆の立場に行ってしまうと、相手としてはそこへの自尊心が生まれることにもなり、そうなるとなかなか翻すことが難しくなります。
小さなYesを積み重ねる
D・カーネギー著「人を動かす」(創元社)では、「議論して分からせる」のではなく、相手と同じ方向へ歩んでいくための方策として、「小さなYesを積み重ねる」を提案していました。
人と話をするときに、意見の異なる話題をいきなり持ち出すのではなく、相手と意見が一致している話題から入り、相手にYesと言ってもらえるところから少しずつ合意を積み重ねていき、最終的に、自分の方向性と同じであることに気づいてもらう、という道筋をつけていくというものです。
人は、Yesという言うたびに、自然と肯定的・前向きな姿勢を取るようにもなります。
「ソクラテス式問答法」では、”相手に教える”のではなく、相手がYesと思うであろう質問を投げかけていくことで、最終的には”自然と相手が気づく”という建付けになっており、この「小さなYesを積み重ねる」という方法の原型ともなっています。
相手の立場にならないと、「Yes」の質問は見つからない
相手に「Yes」と言ってもらえる質問、簡単にできそうに思いますが、実際には、これはなかなか難しいものだと感じます。
どのようにすれば相手に「Yes」と言ってもらえる質問を考えることができるかと考えると、行き着くところとしては、「相手の立場で物事を考える」ということがいえそうです。
相手のスタートからのプロセスが想像できなければ、相手に「Yes」と言ってもらえる質問を思いつくことができません。
どれだけ相手の立場になって物事を考えているか、がやはり重要なのだと思い知らされます。