決算予測の打合せを、”経営戦略”イメージが湧くベースにする

試算表や決算書から決算予測・資金繰り予測を作成するにあたっては、より具体的に経営をよくするための判断に役立ててもらえるよう、”片手落ち”とならないような対応を心がけています。

竹田陽一著「小さな会社★社長のルール ランチェスター経営成功への実践手法」(フォレスト出版) を参考として。

目次

試算表・決算書ベースの決算予測だけでは不完全

キャッシュフローコーチングにおいては、試算表・決算書をベースとした打合せ資料を作成しています。

お金のブロックパズル

事業のお金の流れを、ひと目でイメージするために、お金のブロックパズルはとても有効な資料だと考えています。

事業のお金の流れがどのように流れているのか一見してイメージで掴んで頂くには、漢字や数字の羅列したものよりも、人間の直感に訴えかける絵や図で見たほうがシンプルで、かつ、漢字・数字の量などよりも直接的に伝わる情報量が多いと考えています。

業績見込み、損益+CF、資金残高予測(キャッシュフロー計画表)

お金のブロックパズルで全体像を俯瞰して見た後に、より具体的な数字の入った資料を、見るべきポイントを順々にマーカーなどで示しながら見ていくようにしています。

業績見込み①
業績見込み②
損益+CF 利益の後のキャッシュフロー項目まで網羅されており、ブロックパズルとも連動

着眼点モデル、シミュレーション

上記のような資料を見ていった後には、今後の展開や見込みをイメージしやすくなるための資料(着眼点モデルなど)を作成し、打合せをするようにしています。

例えば、現状のお金のブロックパズルを真ん中に置いたうえで、どのブロックをどのように伸ばしたり縮めたりする余地がありそうか、というお話をしています。

また、簡易なシミュレーションについても、お金のブロックパズルを改めて作ることを通して、その場でまずはざっくりとした形でもイメージを持ってもらえるようにしています。

資料はあくまでイメージするための土台に過ぎない

重要なのは、”上記の資料は、経営全体をよくしていくための「土台」に過ぎない”ということだと思っています。

なぜなら、具体的に経営をよくしていくために最も大きなウェイトを占めているのは、「営業戦略」だからです。

会計上で出てくる数字というのは、あくまで過去の実績であったり、損益計算書や貸借対照表といった会計資料で数字として表現できる一部のものに過ぎないのです。

数字だけを扱う職業をしていると、数字だけで全体が分かったかのように勘違いをしてしまう傾向があると思っています。

しかし、実際には、経営を構成している要素というものは、実に多岐にわたります。

自身にそのような傾向があるという前提で(くれぐれも自戒して)、あくまでそれは絶対・完全なものではないのだという自覚を持ちながら、慎重に相手の話を聞き質問などをしながら、資料はあくまで土台であり、資料(数字)の”その先”を一緒に作っていけるような「打合せ」の機会を持つよう心がけています。

経営戦略イメージを持ってもらいやすくするために

経営を構成している要素は、下記のとおり、多岐にわたっています。

経営を構成している要素(主なもの)
  1. 商品
  2. 商圏(営業エリア)
  3. 客層イメージ(ペルソナ)
  4. 業界の動向
  5. 営業(お客様の創造)
  6. リピート
  7. 組織体制
  8. 資金繰り、会計・税務
  9. 労務

このうち、数字で表すことができること、特に、損益計算書や貸借対照表といった会計資料で表現することができるものというのは、ほんの一部に過ぎません。

会社の方向性を決める、いわゆる”経営戦略”のイメージを持ってもらうために、数字で表すことができるものは当然表すものとして、それらの資料をベースとして、具体的に「打合せ」の機会を持つことによって、会計資料で表すことができない重要分野(特にウェイトの高い「営業戦略(商品、商圏、客層、業界、営業、リピート)」)への”連動”を意識するようにしています。

つまり、上記の資料は、それそのものが”完成物(最終目的)”なのではなく、あくまで”ツール(手段)”であって、そのツールをベースとした「打合せ」(相互のコミュニケーション)が、経営にとって重要な意味・効果を持つこととなるよう心がけています。

より踏み込んだ視点で質問する

「打合せ」のなかでは、資料をベースに、”その資料で網羅できない経営の構成要素”を補完・検証・ブラッシュアップできるよう、以下のような視点を意識するようにしています。

単価の視点

自社の経営資源や競合の動向を踏まえて、より高単価で競争力のある商品は何か(商品・業種の範囲の判断含め)

数量の視点①

自社の経営資源や競合の動向を踏まえて、より数量の拡大が見込める戦略的な営業エリアの展開はあるか(地域・範囲の判断含め)

数量の視点②

自社の経営資源や競合の動向を踏まえて、どの客層をより中心に据えていけばよいか

数量の視点③

どのような方法を取ると、お客様の創造(新規開拓)をすることができるか

リピートの視点

一度取引したお客様に、どのように対応していけば、リピートして取引してくれるようになるか

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