当事務所では「代表税理士が直接担当すること」を経営方針として掲げています。
これはとりあえずの方針ではなく、当事務所の特徴・コンセプトとして、あえて掲げているものです。
税理士業界の現状
税理士業界の現状・常識では、代表税理士自身が直接担当・お客様の対応をすることは、少数派と感じています(統計を取ったことはないのですが。)。
代表税理士は、最初の契約段階と年に1回程度(年に1回もないことも)という頻度でのみお客様との接点を持つことが多く、期中のやり取り、月次報告・決算報告、提案・アドバイス・サポート、試算表・決算書の作成は、別の担当者がつき、その担当者が行うことが多いように思います。
また、税理士業界の現状・常識では、事務所規模が大きくなってきた場合に、代表税理士がまず行うことは、自身が担当を外れ、別途担当者を置き、お客様の対応を担ってもらう、ということであったりします。
世の中の価値観の行方(私見)
お客様側として
お客様側から見ると、その事務所が良いと思って契約したにもかかわらず、その代表の顔が見えないというのはどうにも不安を感じます。
それは、私がお客様側として様々な取引先と接しているなかで感じることでもあります。
長期契約であればあるほど、大きな買い物であればあるほど、最初から最後までその取引先の代表の顔が見えない状態よりも、見える状態の方が安心します。
逆に、見える回数が多ければ多いほど、”親身さ”を感じますし、“安心感”に繋がりますし、心理的距離も生まれ”コミュニケーションの取りやすさ””相談のしやすさ”にも繋がると感じます。
テクノロジーの進展
現在、テクノロジーが進展しています。
30年ほど前まではパソコンは一般的でなく、手書きがメイン。試算表・決算書・申告書・総勘定元帳なども手書きで作ることが一般的でした。
その後、パソコンが一般化し、会計ソフトも進展しています。帳簿の作成自体は、代替可能性が高まり、誰でも入力できる時代となりました。
また、ここ5年ほどでは、データ取込みに移行しつつあります。
さらには、帳簿作成や税額計算などは、ITによる代替可能性も出てきているところです。
価値としては、相対的に帳簿作成や税額計算などには比重が置かれなくなってきつつあるように感じます(正確性を犠牲にするということとは違います。)。
一方、テクノロジーの進展に応じて、「人対人で会って話す」ことの価値は高まっているように感じます。
コロナ禍で特に実感することですが、会って五感で感じることで、納得したり学んだりすることがとても多いことに改めて気付かされます。
「体験」に価値が置かれているように感じます。
会って顔を見て話すことの価値
こういった流れを自分なりに考えた結果、税理士業界の現状・常識では少数派かもしれませんが、代表税理士がお客様の顔を見て対応する・直接担当する、ということにコンセプトを置きたい、と考えました。
逆にテクノロジーを可能な限り使って帳簿作成を効率化することで時間を創出する努力を重ね、「お客様の対応をすること・担当すること」に価値を置いた方が、これからの時代の流れにも合っているのではないかと考えています。
まとめ
「代表税理士が直接担当すること」は、価値観の変遷を自分なりに考えた結果としての事務所の方針です。
テクノロジーは進展する一方、事業を経営するのは依然として「人」です。
事業を経営する「人」の事業に対する方針や思いを、数字に表れない「人の気持ちの部分」も含め、普段から丹念にお伺いしながら対応していくことにこそ、税務申告を通じてお客様の経営数字に日常接している税理士としての価値を、より感じて頂けるのではないか、と考えています。