経営数字を改善しようと思ったとき、手を打つ順番を誤ると、改善できないこともあります。
なんとなくでよいので、手を打つべき”順番”の感覚を持っておきたいところです。
①粗利の改善
前回記事でもご紹介したとおり、「粗利」をより稼ぐことができれば、「固定費」を確実に支払い、さらに「利益」を伸ばしていくことができます。
「利益」を伸ばしていくことができれば、将来必要な設備投資の資金を貯めていくこともできますし、スタッフの賞与を増額することができたり、昇給させたりすることもできます。
まず、考えていきたいのは、この”「粗利」をどのようにして伸ばしていくことができるか”、ということになります。
ひと言で”粗利を伸ばす”といっても、手法は本当に様々なものがあります。
- 付加価値の高い商品を作る
- より積極的に営業する
- リピートで購入してもらえるような試みをする
- 仕入れ値を下げる
- 仕入れのロスを減らす努力をする
抽象度を高めに分解しただけでも上記のように分かれますし、より具体的にできることを考えていくと、できることは様々あります。
粗利を上げるとは、自社が社会に対して生み出している(付加している)価値を大きくしていくことともいえますので、事業として本質的な努力ともいえるような気がします。
②物に関する経費の改善
経費のうち大きいものとして、「人件費」が挙げられますが、個人的には、人件費の削減(減給、リストラ)には最後の最後まで手をつけるべきではないと考えます。
会社は、経営者だけでなく様々な人の尽力によって成り立っており、その点を見失ってしまうと、改善どころか現状の維持すら難しい場合がほとんどです。
よって、考えたい経費の改善は、”物”に関する経費の改善です。
例えば、整理整頓して物の使用状況の管理に力を入れるだけでも、無駄な物の購入を減らす効果が期待できます。
水道光熱費の改善なども、効果は小さくとも、意識するだけで違いが出やすい経費といえます。
③物に対する投資・運用状況の見直し
例えば、社用車の運用状況など、車両や設備の状況を見直し、不要な物は売却したりして集約することで、維持コストを見直すこともできます。
車であれば、紐づきで、駐車場代などの減少を見込むこともできます。
④生産性を上げる
人件費を削減するという発想を持つのではなく、”どうすれば労働生産性を上げることができるか”、と発想したいところです。
労働生産性の向上とは、すなわち、「スタッフ1人あたりが担っている粗利を増やす」ことを意味します。
スタッフ1人ひとりに、より”粗利が増える行動”を取ってもらうことができれば、みんなの力で粗利を上げていくことができます。
そのためには、自社にとってどのような行動をすれば”粗利が増える行動”なのかを具体的に定義し、各スタッフに対して語りかけていくという発想が必要になります。
事業の存続に支障のない範囲で、報奨金・賞与・手当などのインセンティブを考えることも必要かと思います。
より売上に紐づく経費の見直しは、慎重に行う
広告宣伝費や販売促進費など、より売上高の維持・拡大に紐づくものに関しては、安易に削減を考えず、慎重に”費用対効果”を検討すべきと考えられます。
例えば、広告宣伝であれば、媒体ごとに、よく買ってくれる層や自社がターゲットとする層に響いているかどうかをよく検証し、費用対効果が取れていると見込めるのであれば、削減することはかえって逆効果になります。
順番を意識する
ひと言で経営数字の改善といっても、個別性の強いものです。
個別の状況によっては、順番が低くとも優先して手を打つと効果が出る場合もあります。
しかし、一般的な“順番”を知っておくだけでも、経営改善のアイデアと優先順位の参考になりそうです。