赤字経営や資金繰りの悪化に直面した際、最も重要なのは「手元資金」の確保と、金融機関に対する迅速かつ誠実な対応です。”融資が受けられないかもしれない”・”倒産してしまうかもしれない”という不安は、経営者にとって計り知れないストレスとなります。会社を守るために知っておくべき資金調達の「王道」、やってはいけないタブー、スムーズなリスケジュールへの移行手順について。
まずは手元資金の確保を!”なりふり構わず”の覚悟が必要
金融機関の融資姿勢が後退している局面において、何よりも優先すべきは「手元資金(キャッシュ)」をつくることです。
「手元資金なきところに融資なし」と言われるほど、銀行は現預金の残高を重視します。
会社を存続させるためには、なりふり構わず資金を確保し、経営のパズルを動かすための「1ピース」を埋める必要があります。
具体的な資金確保のアクションリスト
まずは社内にある資産を徹底的に見直し、換金できるものはすべて換金しましょう。
- 資産の売却・解約
- 解約返戻金のある保険の解約
- 不良在庫や遊休不動産の売却
- 経費の削減(血を流す覚悟)
- 役員・従業員の賞与や給与の引き下げ
- 赤字の原因となっている事業やコストを断ち切る
- 個人の資産投入
- 役員個人に預金がある場合は会社に入れる
- 必要であれば自宅を担保にしてでも資金を工面する
事業継続か、撤退か?
資金調達を行う前に、冷静な判断も必要です。
「失う何か(資産など)」と「将来の希望(事業継続)」を天秤にかけ、撤退ライン(「これを失う位なら廃業する」という基準)を設定しておきましょう。
| 判断基準 | 対応方針 |
|---|---|
| 方策が見えていて取り返せる | 継続 |
| 自分には取り戻す自信がない | 再生または廃業 |
赤字転落時の「王道」対策と、絶対やってはいけない3つのタブー
赤字転落しそうになった場合の「王道」
リスケジュール(返済条件の変更)を検討する前に、実行すべき戦略があります。
それは、「決算前に翌年度の返済分をまとめて借りてしまう」ことです。
- 理由
リスケジュールに入ると、格付けが下がり、翌年度は新規の借入ができなくなる可能性が高いためです。 - メリット
あらかじめ資金(ニューマネー)を確保しておくことで、「他行が融資しないので、当行も融資しない」という金融機関同士の膠着状態を防ぎ、時間を稼ぐことができます。この資金が、経営改善までの命綱となります。
資金繰りに詰まったときに絶対やってはいけない3つのこと
焦るあまり、以下の行動をとると信用を完全に失い、再起が難しくなります。これらは絶対に避けてください。
- 相談なしの滞納
事前の連絡なしに返済を遅らせることは致命的です。必ず事前に相談に行きましょう。 - 金融機関からの連絡を無視
電話に出ない、居留守を使うなどの行為は信頼関係を破壊します。誠実な対応ができない経営者は支援されません。 - ノンバンクからの借入
会社として安易に高金利の借入に手を出すと、資金繰りはさらに悪化し、破綻を早めるだけです。
銀行との交渉術とスムーズなリスケジュール
手元資金の確保や新規融資(ニューマネー)が難しい場合、最終手段として「リスケジュール」へ移行します。
しかし、やみくもに依頼するのではなく、銀行側から「融資か、リスケジュールか」を提案してもらう形が理想です。
スムーズなリスケジュールへの移行ステップ
リスケジュールを成功させるためには、全金融機関に対して公平かつ誠実に対応することが鉄則です。特定の銀行だけ優遇することは避けましょう。
- 公平性の維持
全ての金融機関に対して「同じ条件」を提示します。 - 返済額の設定
元金返済は一律、または貸出残高に応じた「プロラタ方式(按分)」で最低額を提示します。 - 注意点
一度リスケジュールを行ったら、その期間中の「再リスジュール」は認められないことが多いです。計画は慎重に立てましょう。
ピンチはチャンス!失う覚悟が未来を拓く
「全てを守ろうとして全てを失う」ことだけは避けなければなりません。
現状を打破するには、何かを失う覚悟が必要です。
しかし、ピンチはチャンスでもあります。
創業当時のようなトップ営業を行い、泥臭く資金を集め、一枚一枚パズルを埋めていくことで、道は必ず開けます。
リスケジュールは恥ずかしいことではなく、会社を立て直すための前向きな「時間稼ぎ」といえます。
