「孫氏の兵法」から学べること。
目次
46)虚実編/陣を水のように変化させる
原文
夫兵形象水、水之形避高而趨下、兵之形避實而擊虚、水因地而制流、兵因敵而制勝、故兵無常勢、水無常形、能因敵變化而取勝者、謂之神、故五行無常勝、四時無常位、日有短長、月有死生
書き下し分
夫(そ)れ兵の形は水に象(かたど)る。
水の形は高きを避けて下(ひく)きに趨き、兵の形は実を避けて虚を撃つ。水は地に因りて流を制し、兵は敵に因りて勝を制す。
故に兵に常勢無く、水に常形無し。能く敵に因りて変化して勝を取る者、之を神と謂う。
故に五行に常勝無く、四時に常位無く、日に短長有り、月に死生有り。
陣形は、水のようであるべきである。
水は、高い場所を避けて低い場所へと向かうものであるが、陣形も、敵の強点を避けて弱点を攻撃すべきものである。
水は地形に応じて流れを変えて土地に浸透していくが、軍もその敵の状況に応じて戦い方を変え、勝利を手にするのである。
水に決まった形がないように、軍に決まった形はない。
敵の情勢に応じて陣形を変えて勝利を得る者こそ、神妙である。
木・火・土・金・水の五行において常にひとつのものが勝つことはなく、四季も常に移り変わり、日も長くなったり短くなったり、月も満ちたり欠けたりすることと同じことである。