孫子の兵法(4~7/計編)

「孫氏の兵法」から学べること。

目次

4)計編/「勝利のための5条件」「7つの評価指標」こそが勝敗の分かれ目である

原文

將聽吾計、用之必勝、留之、將不聽吾計、用之必敗、去之、計利以聽、乃爲之勢、以佐其外、勢者因利而制權也

書き下し分

将(も)し吾が計を聴かば、これを用うれば必ず勝つ。これに留まらん。
将(も)し吾が計を聴かざれば、これを用うるも必ず敗る。これを去らん。
計、利として以て聴かるれば、乃(すなわ)ちこれが勢を為して、以て其の外を佐く。
勢とは利に因りて権を制するなり。

君主が「勝利のための5条件」「7つの評価指標」に基づく計略を採用するのであればこれを用いて勝利をもたらすが、採用しないのであれば敗北することになる。

この計略が有利であるとして採用してもらえれば、あとは実行に勢いをつけることができればより助けになる。

勢いをつけるとは、そのときの状況によって臨機応変に動いていくことである。

5)計編/兵は詭道なり(戦いとは敵を欺くことで勝つことができるもの)

原文

兵者詭道也

書き下し分

兵とは詭道なり。

戦とは、敵を欺くことであり、欺くことではじめて勝つことができるというものである。

6)計編/敵をどう欺くか

原文

故能而示之不能、用而示之不用、近而示之遠、遠而示之近、利而誘之、亂而取之、實而備之、強而避之、怒而撓之、卑而驕之、佚而勞之、親而離之、攻其無備、出其不意、此兵家之勝、不可先傳也。

書き下し分

故に能(あた)うもこれに能(あた)わざるを示し、用うるもこれに用いざるを示し、近くしてこれに遠きを示し、遠くしてこれに近きを示し、利にしてこれを誘い、乱にしてこれを取り、実にしてこれに備え、強にしてこれを避け、怒にしてこれを撓(みだ)し、卑にしてこれを驕らせ、佚(いつ)にしてこれを労し、親にしてこれを離す。
其の無備を攻め、其の不意に出ず。
此れ兵家の勝、先に伝うべからざるなり。

敵を欺くためには、己に力量があってもそれがないように見せたり、策を用いないように見せたり、近くにいても遠くにいるように見せたり、遠くにいても近くにいるように見せたり、利益を見せて誘ったり、相手が混乱していればそれに乗じ、相手が充実しているようなときは守備に回り、相手が強いときは正面衝突は避け、相手が感情的になっていればさらに挑発してかき乱し、相手が冷静であればこれを驕り高ぶらせ、相手に余力があればこれを疲れさせ、相手が団結していればこれを離間させる。

こうして相手の欠点を攻め、不意をつくのである。

これらは兵法で勝利するための常識であるが、臨機応変性が求められるため、あらかじめ計画的に伝えることは難しいものである。

7)計編/戦いの前の緻密な計算によってあらかじめ勝敗を見えるものである

原文

夫未戰而廟筭勝者、得筭多也、未戰而廟筭不勝者、得筭少也、多筭勝、少筭不勝、而況於無筭乎、吾以此觀之、勝負見矣

書き下し分

夫(そ)れ未だ戦わずして廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり。
未だ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。
算多きは勝ち、算少なきは勝たず。
而(しか)るを況(いわ)んや算なきを於てをや。
吾れ此れを以てこれを観るに、勝負見(あら)わる。

戦う前に廟算し(先祖の前でも恥じないようくれぐれも慎重に比較検討し)、勝てると分かるのは、あらかじめ慎重に比較検討し、事前に勝ち目があると踏める場合である。

勝てないと分かる場合は、あらかじめ慎重に比較検討し、事前に勝ち目がないと分かるものである。

つまり、事前の計算が多ければ事前に勝ちが分かるので勝ちは多くなり、事前の計算が少なければ負けることも多くなるのである。

まして、事前の計算の段階で勝ち目がないのであれば、話にもならない。

あらかじめの綿密な計算により、事前に勝敗ははっきりと分かるものなのである。

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