孫子の兵法(66~67/行軍編)

「孫氏の兵法」から学べること。

目次

66)行軍編/敵の動きを見極める①

原文

敵近而靜者、恃其險也、遠而挑戰者、欲人之進也、其所居易者、利也、衆樹動者、來也、衆草多障者、疑也、鳥起者、伏也、獸駭者、覆也

書き下し分

敵、近くして静かなるは、其の険を恃むなり。
遠くして戦いを挑むは、人の進むを欲するなり。
其の居る所の易きは、利あるなり。
衆樹の動くは、来たるなり。
衆草障り多きは、疑なり。
鳥起つは、伏なり。
獣駭(おどろ)くは、覆なり。

敵がこちらの近くにいるのに静まり返っているのは、陣を構えている場所の地形の険しさに優位性を感じているからである。

敵が遠くにいながら挑発してくるのは、こちらに出てきて欲しいと思うからである。

敵が要害ではなく平坦地で構えているというのは、罠を仕掛けようとしているからである。

多くの木々が揺れ動いているのは、敵が進撃してきているからである。

多くの草が積んであるのは、敵が伏兵のように見せてこちらを惑わしているからである。

鳥が飛び立つというのは、伏兵がいるからである。

獣が驚いて走り出しているのは、敵が奇襲を仕掛けてこようとしているからである。

67)行軍編/敵の動きを見極める②

原文

塵高而鋭者、車來也、卑而廣者、徒來也、散而條達者、樵採也、少而往來者、營軍也、辭卑而益備者、進也、辭疆而進驅者、退也、輕車先出、居其側者、陳也、無約而請和者、謀也、奔走而陳兵車者、期也、半進半退者、誘也

書き下し分

塵高くして鋭きは、車来たるなり。
卑くして広きは、徒来たるなり。
散じて条達するは、樵採するなり。
少なくして往来するは、軍を営むなり。
辞卑くして備えを益すは、進むなり。
辞疆(つよ)くして進駆するは、退くなり。
軽車先に出でて、其の側(かたわら)に居るは、陣するなり。
約無くして和を請うは、謀るなり。
奔走して兵を陳ぬるは、期するなり。
半進半退するは、誘うなり。

砂塵が高く上がり前方が尖っているというのは、敵の戦車が攻めて来ようとしているからである。

砂塵が低く広がっているというのは、敵の歩兵が攻めて来ようとしているからである。

砂塵がバラバラに上がりところどころで細長く動くというのは、敵が薪を集めているからである。

砂塵が少しだけ上がって行ったり来たりするのは、敵が陣営を作ろうとしているからである。

敵の使者の言葉がへりくだっているのにその防備を強化しているというのは、進撃の準備をしているからである。

敵の使者の言葉が強気でいかにも進撃してくるように見せるのは、撤退しようとしているからである。

敵の軽戦車が前に出て両側面に配置されているのは、陣を構えて、様子を見ようとしているからである。

敵が困っている状況に見えないのに講話を申し込んでくるのは、何らかの謀略があるからである。

敵が慌ただしく軍隊を配置しているのは、決戦しようと準備しているからである。

敵の軍隊が半分進んだり半分引いたりしているのは、こちらを誘導しようとしているからである。

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