孫子の兵法(64~65/行軍編)

「孫氏の兵法」から学べること。

目次

64)行軍編/士気と地形が鍵となる

原文

凡軍好高而惡下、貴陽而賤陰、養生而處實、軍無百疾、是謂必勝、丘陵隄防、必處其陽、而右背之、此兵之利、地之助也

書き下し分

凡(およ)そ軍は高きを好みて下(ひく)きを悪(にく)み、陽を貴びて陰を賤しみ、生を養いて実に処(お)る。
軍に百疾無くんば、是れを必勝と謂う。
丘陵・隄防には、必ず其の陽に処(お)りて、これを右背(ゆうはい)にす。此れ兵の利、地の助けなり。

軍というものは、基本的には、高い場所が有利であり、低い場所が不利である。

また、陽当たりのよい場所を好み、陽当たりの悪い場所を避ける。また、兵士の士気・健康に留意し、物資の豊富な場所に駐留する。
軍に病気が発生しないようにすれば、士気も高く、常勝軍になることもできる。

丘陵や堤防のあるところでは、必ず陽当たりのよい場所に駐留し、丘陵や堤防のが右後方となるようにする。
これが軍事上の利益となり、地形の助けを受けるものである。

65)行軍編/地形の良し悪しに注意する

原文

上雨、水沫至、欲渉者、待其定也、凡地、有絶澗、天井、天牢、天羅、天陷、天隙、必亟去之、勿近也、吾遠之、敵近之、吾迎之、敵背之、軍行有險阻、潢井、葭葦、山林、翳薈者、必謹覆索之、此伏姦之所處也

書き下し分

上に雨ふりて、水沫至らば、渉らんと欲する者は、其の定まるを待て。
凡(およ)そ地に、絶澗・天井・天牢・天羅・天陥・天隙有らば、必ず亟(すみや)かにこれを去りて、近づくこと勿かれ。
吾れはこれに遠ざかり、敵は之に近づかしめよ。
吾れは之を迎え、敵は之に背(はい)せしめよ。
軍行に険阻・潢井・葭葦・山林・翳薈(えいわい)ある者は、必ず謹しんで之を覆索(ふくさく)せよ。此れ伏姦の処る所なり。

上流に雨が降っていて、川の流れが激しいときに、川を渡ろうと思うのなら、その流れが落ち着くまで待たなくてはならない。

地形が、絶壁に挟まれた谷川、井戸のような低地、入口以外は山に囲まれた監獄のような土地、いばらが多く通過しにくい土地、天然の落とし穴のような沼沢地、2つの山に挟まれた細い道などであれば、必ず速やかにそこから離れ、決して近づいてはならない。

味方は近づかないようにし、敵には近づくようにさせるとよい。
逆に、味方はそこに向かって攻撃をしかけるようにし、敵にはそこが背になるように仕向けるとよい。

行軍しているときに、地形の険しい場所、池や窪地、葦の密生地、山林、草木の生い茂っている場所などを通るような場合においては、必ず幾度も慎重に敵がそこにいないか索敵しなければならない。
こうした場所には、敵の伏兵や斥候がいる可能性があるのである。

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