「孫氏の兵法」から学べること。
99)九地編/兵の心情を知る
故兵之情、圍則禦、不得已則鬪、過則從
故に兵の情は、囲まるれば則ち禦ぎ、已むを得ざれば則ち闘い、過ぐれば則ち従う。
兵士の心情として、敵に包囲されたときはこれを防ぎ、戦わざるをえない状況になったのであれば必死に戦う。危険な状況下であればあるほど、将軍によく従うようになる。
100)九地編/覇者の軍
是故不知諸侯之謀者、不能預交、不知山林險阻沮澤之形者、不能行軍。不用郷導者、不能得地利、四五者、不知一、非霸王之兵也
是の故に諸侯の謀を知らざる者は、預(あらかじ)め交わること能わず。
山林・険阻・沮沢の形を知らざる者は、軍を行(や)ること能わず。
郷導を用いざる者は、地の利を得ること能わず。
四五の者、一を知らざれば、覇王の兵に非ざるなり。
諸侯の謀・腹の内を知らずして、諸侯たちとうまく付き合っていくことはできず、まして同盟など結ぶこともできない。
山林・険しい地形・湿地帯などの地形を知らずして、軍を進めることはできない。
その土地に詳しい道案内を使わずして、地形におけるメリットを得ることはできない。
以上のことをひとつでも知らなければ、天下の諸侯を征服する覇者の軍とはいえない。
101)九地編/覇王の軍の力
夫霸王之兵、伐大國、則其衆不得聚、威加於敵、則其交不得合、是故不爭天下之交、不養天下之權、信己之私、威加於敵、故其城可拔、其國可隳
夫れ覇王の兵、大国を伐てば、則ち其の衆聚(あつ)まるを得ず、威敵に加うれば、則ち其の交合するを得ず。
是の故に天下の交を争わず、天下の権を養わず、己の私を信(の)べ、威敵てきに加わる。
故に其の城抜くべく、其の国隳(やぶ)るべし。
覇者の軍ともなると、大国を討伐しようとすればその大国が持つ大軍は集結することなく、敵国に威圧を加えれば敵国は孤立して他国と同盟することができない。
こうなると、たとえ他国と争うように諸侯と親交して同盟を結ばなくとも、天下の覇権を築かなくとも、自分の望みを明らかにするだけで、敵に対してその威圧感は加わっていく。
なので、敵の城も落とせ、敵の国も破ることができる。