孫子の兵法(105~107/火攻編)

「孫氏の兵法」から学べること。

目次

105)火攻編/火攻めの5タイプ

原文

孫子曰、凡火攻有五。一曰火人、二曰火積、三曰火輜、四曰火庫、五曰火隊。行火必有因、煙火必素具。發火有時、起火有日。時者天之燥也。日者月在箕壁翼軫也。凡此四宿者、風起之日也。

書き下し分

孫子曰く、凡そ火攻に五有り。
一に曰く火人、二に曰く火積、三に曰く、火輜、四に曰く、火庫、五に曰く、火隊。
火を行うに必ず因有り、煙火は必ず素より具(そな)う。
火を発するに時有り、火を起こすに日有り。
時とは天の燥(かわ)けるなり。
日とは月の箕(き)・壁(へき)・翼・軫(しん)に在るなり。
凡そ此の四宿の者は風の起こるの日なり。

火攻めには5タイプある。

  1. 火人:敵の兵を焼き討ちにすること
  2. 火積:敵の物資を焼き払うこと
  3. 火輜:敵の輸送車を焼き払うこと
  4. 火庫:敵の貯蔵庫を焼き払うこと
  5. 火隊:敵の陣営を焼き払うこと

火攻めには、条件が揃っている必要がある。また、火攻めに必要な道具・材料はあらかじめ準備しておかなければならない。

火攻めにはタイミングがある。

タイミングとは、乾燥しているときのことである。また、月が箕・壁・翼・軫という星座の位置にあるとき(=風が起こる日)である。

106)火攻編/火攻めの進め方

原文

凡火攻、必因五火之變而應之。火發於内、則早應之於外。火發兵靜者、待而勿攻、極其火力、可從而從之、不可從而止。火可發於外、無待於内、以時發之。火發上風、無攻下風。晝風久、夜風止。凡軍必知有五火之變、以數守之。

書き下し分

凡そ火攻は、必ず五火の変に因りてこれに応ず。
火、内に発すれば、則ち早くこれに外に応ず。
火、発して兵静かなる者は、待ちて攻むること勿く、其の火力を極め、従うべくしてこれに従い、従うべからずして止む。
火、外より発すべくんば、内に待つこと無く、時を以てこれを発す。
火、上風に発すれば、下風を攻むること無かれ。
昼風は久しく、夜風は止む。
凡そ軍は必ず五火の変有るを知り、数を以てこれを守る。

火攻めは必ず5タイプのなかから行い、あとは、変化に応じて兵を動かしていく。

味方の間諜や内応者によって敵陣の中から火が上がった場合には、すばやくこれに呼応して攻撃を仕掛ける。
しかし、火が上がっても敵が静まっているときはすぐに攻撃を仕掛けずに待機して様子を見、攻めてよさそうなら一気に攻撃し、よくなさそうなら攻撃をやめるようにする。

外から火をかけて攻撃できそうであれば、敵陣内部からの火を待つことなく、見計らって火を放つようにする。

火が風上から燃え出したときは、風下から攻めてはならない。また、昼間の風が長く吹いたときには夜に止むことが多いことにも留意しておきたい。

軍では、必ず火攻めに5タイプの方法があることを知り、その方法を守らなければならない。

107)火攻編/火攻めには知恵が必要

原文

故以火佐攻者明。以水佐攻者強。水可以絶、不可以奪。

書き下し分

故に火を以て攻を佐(たす)くる者は明なり。
水を以て攻を佐(たす)くる者ものは強なり。
水は以て絶つべくして、以て奪うべからず。

火を用いて攻撃力を増幅するのは、聡明な知恵によるものであり、強大な兵力によるものである。

水は敵を孤立させることはできるが、敵の城を奪うことはできない。

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