「孫氏の兵法」から学べること。
111)用間編/スパイの5タイプ
因間者、因其郷人而用之。内間者、因其官人而用之、反間者、因其敵間而用之、死間者、爲誑事於外、令吾間知之、而傳於敵間也、生間者、反報也
因間なる者は、其の郷人に因りてこれを用う。
内間なる者は、其の官人に因りてこれを用う。
反間なる者は、其の敵間に因りてこれを用う。
死間なる者は、誑事(きょうじ)を外に為し、吾が間をしてこれを知らしめて、敵に伝うるの間なり。
生間なる者は、反り報ずるなり。
因間 | 敵国の民間人を利用して行う |
---|---|
内間 | 敵国の幹部を利用して行う |
反間 | 敵国のスパイを自国のスパイとして使う |
死間 | 味方が偽りの行動を実際に行い、味方のスパイが敵にそれを知らせるもの |
生間 | 敵国に侵入し、生還して情報をもたらすもの |
112)用間編/スパイを使う側の器量
故三軍之事、莫親於間、賞莫厚於間、事莫密於間、非聖智不能用間、非仁義不能使間、非微妙不能得間之實、微哉微哉、無所不用間也、間事未發而先聞者、間與所告者皆死
故に三軍の事こと、間より親しきは莫く、賞は間より厚きは莫く、事は間より密なるは莫し。
聖智に非ざれば間を用うること能わず。仁義に非ざれば間を使うこと能わず。
微妙に非ざれば間の実を得ること能わず。
微なるかな、微なるかな、間を用いざる所無し。
間事未だ発せずして先ず聞こゆれば、間と告ぐる所の者とは、皆死す。
全軍のなかで、君主と将軍の間はスパイよりも親しいものはなく、恩賞もスパイに対して最も厚く、スパイの行うことは最高機密となる。
君主や将軍がとても優れた知恵の持ち主でなければ、スパイは活用することはできない。
仁(深く的確な思いやりのある至高の人格)と義(正しい道理の判断とその徹底心)の持ち主でなければ、スパイを活用することはできない。
微妙なニュアンスを洞察できないと、スパイの情報から真実を掴むことができない。
一方で、軍事においてスパイが使われないということはないのである。
君主や将軍が行っていたスパイ活動の情報が公開されない段階で、別の者からそれを知らされたときは、その知らせてきた者と情報を外に漏らした担当スパイに死んでもらわなくてはいけない。