生成AIはとてつもなく便利なものですが、データ入力の際に注意すべき事項も知っておく必要があります。
目次
日本ディープラーニング協会「生成AIの利用ガイドライン」1.1
日本ディープラーニング協会では、「生成AIの利用ガイドライン」の第1版を2023年5月に、さらに第1.1版を2024年10月に公開しています。
これらは、会社が社内ルールの取り決めのたたき台や雛形として利用することが想定されています。
『生成AIの利用ガイドライン』第1.1版を公開
生成AIの活用を考える組織がスムーズに導入を行えるように、利用ガイドラインのひな形を策定し、公開しました。 ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争…
データ入力に際して注意すべき事項(全般)
日本ディープラーニング協会「生成AIの利用ガイドライン」においては、以下のように整理されています。
項目 | 要点 |
---|---|
第三者が著作権を有しているデータ(他人が作成した文章等) | ・単に生成AIに他人の著作物を「入力」するだけの行為は、原則として著作権侵害に該当しない ・他人の著作物と同一・類似するAI生成物を生成する目的がある場合、入力行為自体が著作権侵害になる可能性あり ・生成されたデータが、入力データや既存データ(著作物)と同一・類似している場合、「利用」が著作権侵害になる可能性あり ・ファインチューニングによる独自モデルの作成やプロンプトエンジニアリングのために他者著作物を利用することについても、原則として著作権侵害に該当しないと考えられる |
登録商標・意匠(ロゴやデザイン) | ・商標・意匠として登録されているロゴ・デザイン等を生成AIに「入力」することは商標権侵害や意匠権侵害に該当しない ・故意あるいは偶然生成された他者の登録商標/意匠と同一・類似の商標・意匠を「商用利用」する行為、商標権侵害や意匠権侵害に該当する →入力する際には登録商標・意匠の調査の必要性は乏しいが、生成物を利用する場合には調査が必要 |
著名人の顔写真や氏名 | ・著名人の顔写真や氏名を生成AIに「入力」する行為は、当該著名人が有しているパブリシティ権の侵害には該当しない ・生成AIで生成された著名人の氏名・肖像等につき、それらの氏名や肖像等を「商用利用」する行為については、パブリシティ権侵害に該当する |
個人情報 | ChatGPTにおいては、入力したデータがOpenAI社のモデルの学習に利用されることになっているため、ChatGPTに個人情報(氏名・住所等)を入力する場合、本人の同意を取得する必要あり ※特定の条件を満たす場合には、個人情報の入力が適法になる可能性もあり。 |
他社から秘密保持義務を課されて開示された秘密情報 | 他社との間で秘密保持契約などを締結して取得した秘密情報を入力する行為は、第三者に秘密情報を開示することとなり、契約に反する可能性あり |
自組織の機密情報 | 自社内の機密情報を入力する行為は、法令違反にはならない ※ただし、処理内容や規約の内容によっては、機密情報が法律上保護されなくなったり、特許出願ができなくなったりしてしまうリスクがあり、入力すべきではない |