お客様の経営環境のなかに、「自分」を入れて考えること。
これが、当事務所の目指すお客様への関与の理想の行動指針だと感じています。
河合隼雄「カウンセリング講座」(創元社)を読んで学んだこと。
お客様への関与の仕方の2つのあり方
税理士などのコンサルティングでお客様に関与しようとする場合、2つのあり方があると考えています。
- 「先生型」→教える。~であるべきと伝える。
- 「パートナー型」→盲点に気づいてもらう。~していきましょうと伝える。
確かに、税務に関する質問は、単に分からないことを聞かれているわけですし、端的に答えるべきかと思います。
ただ、「先生型」というと、ともすると、上から目線という印象があったりもしますし、後出しジャンケンしているような印象があります。
一方、財務や経営に関する質問は、絶対的な答えがあることは稀です。
まして、数字に落とし込めないメリットがあることなども考え合わせると、より絶対的な答えがあることなどありません。
上記を踏まえると、当事務所は「パートナー型」でありたいと思います。
様々な経営を見ていると、他事例などが自分のなかに集積するのは事実です。
そういったことを一事例として提案することは、答えを一方的に教えるようなことではないわけで、提案の結果、何に気づきを得るのか得ないのかという世界に絶対的な正解があるとは思えません。
まして、少なくとも財務や経営に携わるにあたっては絶対的な正解などそもそもないと思われるからです。
自分の目指す関与の仕方
一方で、一言で「うちの事務所はパートナー型です。」「うちの事務所は”寄り添い型”です。」というと、一見とっつきやすいように見えますし、謳うのは簡単なことです。
しかし、そこに行動や視点として、具体的に「先生型」ではない「指針」が必要だと考えていました。
「パートナー型」であることを、どのような行動指針で担保するか、ということです。
以前の記事でもご紹介したのですが、何かを標榜するのであれば、そこに根本となる「思考」が必要で、それが「言葉」となり、「行動」となり、それがやがて「習慣」として、まとまりを見せていくものだと思うのです。
具体的な行動で担保することで、理想を目指す
どのように「パートナー型」であるべきかを考えていたときに、河合先生の書籍のなかで腹落ちすることがありました。
それは、人と関わっていくなかでは、”全体を読む”感覚が重要で、かつ、その”全体の読みのなかに自分を入れる”感覚が非常に大事だ、ということです。
自分自身がましてすべてにおいて絶対とは限りません。
意識して”全体”を俯瞰したときに、その流れが必ずしも一つのストーリーで収まるものではなく(正解はなく)、様々な要素・展開が考えられます。
そういった全体を読む感覚が必要になってくるわけですし、そういう視点を持つことを指針としています。
そしてさらに、その”全体”のなかに、「自分」を置く意識を持つことを指針としています。
”自分を置く”とは、自分は全体の流れのなかにおいて他人ではない、という意識です。
”自分を置かない”ということは、他人事として理解しているとも換言できそうです。
自分自身は絶対安全な立場にいて、他人に、何かを教える、~であるべきだと伝えることでは、なかなか相手には受け入れられづらいものです。
自分の関与によってもお客様の経営は流れていっているという意識・行動指針をもって、「思考」し、「言葉」を発し、「行動」していくことによって、「パートナー型」であることを具体的な形で表現していきたいと考えています。