大切な相手と話をするとき、”なぜか本音を話してもらえない”・”議論が平行線で終わってしまう”と感じることがありますが、人にはそれぞれ無意識のうちに現れる「思考のクセ」があり、それがコミュニケーションの壁になっている場合があります。相手の心の動きを優しく汲み取り、対話を深めていくための具体的なヒントについて。
和仁達也著「コンサルタントの言語化力」(かんき出版)を参考にして。
相手を深く知るための「思考のクセ」の捉え方
コミュニケーションを円滑にする第一歩は、人には、それぞれの環境や経験から作られた「思考のクセ」があるということを理解することです。
相手が話の核心で何を大切にしているのかを見つけるために、まずはよく見られる3つのパターンです。
| タイプ | 特徴と口癖 | 周囲への影響 |
|---|---|---|
| ①「べき・ねば」タイプ | 「○○すべき」 「○○でなければならない」 | 正義感があるものの、行き過ぎると相手に圧力を与え孤立しがちです。 |
| ②「でも、それって」タイプ | 「いや、そうじゃなくて」 「でもさ」 | やたらと相手のささいな間違いも訂正してしまい、相手の話す気力を奪うことがあります。 |
| ③「それ、いいね!」タイプ | 「いいね!」 「なるほど」 「たしかに」 | 相手の話をまず受け止める「聞き上手」で、周囲から頼りにされる存在です。 |
1番目や2番目のタイプが悪いわけではありませんが、無意識に発動されると摩擦が生まれてしまいます。
相手のタイプを把握することで、より柔軟な対応も可能になります。
本音を引き出し、心の距離を縮める「魔法のフレーズ」
相手が安心して心を開くためには、「適切な距離感」と「適切な問いかけ」が欠かせません。
威圧感を与えず、自然に会話を深めていくためのフレーズを使い分けます。
- 「といいますと?」で深掘りしていく
”もっと詳しく話してください”と強要するのではなく、自然に続きを促す効果があります。大きな岩を最初に動かすときのような、会話のきっかけの一言になります。 - 「背景や補足があれば聞かせてもらえますか?」で広げる
”背景を教えてください”と決めつけるのではなく、「あれば」と添えることで相手に判断を委ね、心理的な負担を減らすことができます。 - 「自分へのご褒美はありますか?」で心をほぐす
趣味やプライベートを深く探るのではなく、”休日のご褒美”という何気ない楽しいテーマを投げかけることで、自然に笑顔になれる話題へと導き、距離を縮められます。
また、相手の言葉を「要約してオウム返し」することが効果的です。
自分の発言を客観的に聞くことで、相手自身が”自分は少し無理を言っていたかな”と自問自答を進めるきっかけになります。
本当に大切な課題(センターピン)を見極める
お困りごとには大小があり、すべてに同じテンションで向き合うとお互いに疲弊してしまいます。
限られた時間で価値ある対話をするためには、相手にとっての優先順位を整理することも大切です。
その場合には、「今のお困りごとトップ3は何ですか?」とストレートに尋ねてみます。
”夜も眠れないほど重要なお困りごとに貢献したい”という誠実な前置きを添えることで、相手は自分の悩みを自然に仕分けることができます。
大きなお困りごとの「核心(センターピン)」を言語化できれば、相手に深い納得感を与え、強い信頼関係を築くことができます。
より良いコミュニケーションのために、以下のポイントを意識してみてください。
- 相手の「隠れた感情」を言葉にする
相手が言葉にできていない気持ちを代弁してあげると、深い信頼に繋がります。 - テンプレートを活用する
「○○を○○するには?」という形に整理すると、話が迷走しなくなります。 - 適切な距離感を保つ
やわらかな前置きトークや言い換えを工夫し、相手が安心して本音を話せる「全身鏡」のような存在を目指します。
