経営していると入ってくる売上金がさもすべて手元に残るかのように錯覚しがちですが、そうでないという見立てを持っておく必要があります。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
”苦心しての”売上金
どのようにしたらお客様に価値を提供できるか。お役に立てるか。
それを考えて、その後お客様に知ってもらい、さらに契約してもらって売上金を支払ってもらうプロセスというものは、簡単にできるものでもなく、さんざんの苦心・工夫・苦労の末にやっと作り上げていけるものです。
ただし、そのことがあるがゆえに、手にした売上金には特別な思い入れのあるものとなります。
しかし、必要以上に思い入れてしまうと、あたかもその売上金=手元に残るお金、と考えてしまいがちです。
かかる経費も実は多い
立ち上げた事業においては、かかる経費も予想以上に多いものです。
仕入代金の支払もありますし、外注費・人件費・家賃その他の経費の支払いがあります。
さらに、利益が出た場合には納税もあります。
借入をしていれば、その返済もあります。
さらには、事業はサイクルとして回っていくものなので、次の仕入・経費に充てるお金が必要で、例えば、資金は在庫という形に変わっていることになります。
また、せっかくの売上金も、回収までの管理を怠ってしまうと、回収できない可能性も出てきます。
あるいは、次の事業のための先行投資にも資金が必要かもしれません。
計画的に、確実に資金を貯めていく
売上金だけに目を向けてしまうと、ついつい油断をしてしまい、お金を浪費してしまいがちになります。
しかし、上記のように、売上金には紐付きで経費が伴うこと、在庫管理や債権管理、納税、返済、先行投資といった点にも十分に目を向けておき、それをざっくりではなく計画的に整理しておかなければ、本当に手元に残る利益金は分からないものです。
この計画ができることで、事業のお金が貯まっていくイメージを明確な形で持つことができます。