自分の伝えたいことを伝えたい順番で伝えるというよりも、相手が何に興味を持っているのかを知ったうえで、相手が受け入れやすいことを、相手が受け入れやすい順番で伝える方が伝わりやすいといえます。
永松茂久著「人は話し方が9割」(すばる舎)を参考として。
話す量を増やしてもうまくいくわけではない
「話し方」というと、たくさん情報を調べ、きれいな言葉を考えて、それをひたすらに相手に伝えるというイメージを持ちがちです。
しかしながら、多くの場合、自分の話す量と相手の満足とは、反比例する傾向があります。
永松茂久著「人は話し方が9割」(すばる舎)では、まずもって、”人は誰しも、自分に一番興味があり、自分のことをわかってほしいと思っていて、自分のことをわかってくれる人を好ましいと思う傾向があることを受け入れる”ことの大切さを解説されています。
人の傾向・習性を受け入れ、前提としたときにはじめて、「話し方」へと向き合うフェーズに入るのだと思います。
相手が何を望んでいるかを見極める
永松茂久著「人は話し方が9割」(すばる舎)のなかで、スティーブ・ジョブズの言葉として、以下が紹介されていました。
「美しい女性を口説こうと思った時、ライバルの男がバラの花を10本贈ったら、君は15本贈るかい?そう思った時点で君に負けだ。ライバルが何をしようと関係ない。その女性が本当に望んでいるのかを見極めることが重要なんだ。」
自分がアクションを起こす前に、まずは相手のことを十分に観察して、相手が本当に求めているものは何かを熟慮することが重要、ということなのだと思います。
話す”前”を整える
逆説的ですが、”「話す」を考えるときには、「聞く」を考える”、ということになります。
厳密には、「話す」前に「聞く」を整えるということだと思います。
まず、人間には、「自分に一番興味があり、自分のことをわかってほしいと思っていて、自分のことをわかってくれる人を好ましいと思う傾向」があるということを受け入れること。
その前提に立つと、自分が話す前に相手のことを知るということの必要性に気付かされます。
相手は何に興味があるのか。相手は何に関心を持っているのか。相手は何を求めているのか。
相手はどのようなことに価値を置き、どのようなことに価値を置いていないのか。
相手には物事がどのように見えているのか。
それが分かってくると、おのずと、話す内容・話す順番も決まってくることになります。
相手が知りたい内容を、相手に受け入れやすい順番で。
ただ、その「相手を知る」、そう簡単にできるものでもありません。
まずは相手が話しやすい環境・表情・姿勢を作り、相手の話を聞き、質問し、掘り下げ、相手を観察する。
これらに全力を注いではじめて、相手のことを知ることができるのだといえます。