Googleが提供する「Gemini Advanced」と「Gemini for Google Workspace」、どのような違いがあり、どのように使い分けるとよいのか。
「Gemini for GWS」と「Gemini Advanced」
Googleが提供する「Gemini」には、その有料版として、「Gemini for Google Workspace」と「Gemini Advanced」とがあります。
より詳細な違いに表にまとめると以下です。

主に法人向けか個人向けかで異なるのですが、それゆえに重視されることも異なります。
業務利用する場合に知っておくべき重要な違い
業務利用を考える場合、個人的には、以下2点をピックアップして違いを踏まえておきたいと考えています。
AI学習に利用されるかどうか
Gemini Advanced
Gemini Advancedは、Google のプライバシーポリシーに基づき、サービス向上のためにデータが使用される可能性があります。個人を特定できない形で処理されるとのことですが、完全に除外されるわけではありません。
つまり、入力内容がAIモデルの学習データとして利用される可能性があるということになります。
(というよりも、入力データは AI の学習に使用されることはないとは明示されていない状況。)
このリスクについて、極力抑える設定は可能とされています。
- Gemini Advancedの画面の左下の「アクティビティ」をクリック
- 「アクティビティ」をオフにする

ただ、これはあくまで一部を制限し、ある程度プライバシー管理ができるというもので、完全にデータ提供を制限できるわけではありません。
Gemini for GWS
Gemini for GoogleWorkspaceは、法人利用を想定しており、データのプライバシーとセキュリティが重視されており、デフォルトでは、入力データは AI の学習に使用されることはないと明記されています。
GoogleWorkspaceの管理者画面の「生成AI」→「Geminiアプリ」→「ユーザーアクセス」において、以下のように、アクセス許可制限がされているかどうかを確認することができます。

この設定画面の説明にあるように、ここがオフになっていれば、ユーザーのチャットとアップロードされたファイルは、人間のレビュアーによって確認されることも、生成 AI モデルの改善に使用されることもないことになります。
このオプションを選択しない場合、Gemini アプリにアクセスできるのは、Google Workspace または Workspace for Education の利用規約に基づいてアクセスを許可するライセンスが割り当てられているユーザーに限られます。これらのユーザーのチャットとアップロードされたファイルは、人間のレビュアーによって確認されることも、生成 AI モデルの改善に使用されることもありません。
最新AIモデルを試せるかどうか
Gemini Advanced
Gemini Advancedの大きな魅力は、Googleが開発する最新モデルをいち早く試すことができるという点です。
これにより、新しいアイデアのテストをいち早く自由に行うことができます。
2024年12月19日時点で、「1.5 Pro」や「1.5 Flash」のほかに、実験モデルとして、「2.0 Flash Experimental」と「2.0 Experimental Advanced(gemini-exp-1206)」を利用することができます。

Gemini for Google Workspace
Gemini for Google Workspaceについては、安定性と信頼性が重視されており、最新モデルではなく、実績のある安定したバージョンが提供されています。
2024年12月19日時点では、「1.5 Pro」が利用可能です。
用途で使い分ける
「Gemini Advanced」と「Gemini for Google Workspace」は、それぞれ異なる性質を持っていることを踏まえると、おのずと使いどころが見えてくるということになります。
まずは「Gemini for GoogleWorkspace」を検討する
業務利用するのであれば、業務上扱う情報がAIに学習されるのは現時点ではリスクを推し量ることができないことから、避けておきたいところです。
そのような意味では、有料プラン加入を検討するのであれば、まずは「Gemini for GoogleWorkspace」がベースになると思われます。
機密データを扱う場合は「Gemini for Google Workspace」
経理業務など機密性の高い業務で利用するには、「Gemini for Google Workspace」を選択することになります。
AI学習への利用が制限されており、情報漏洩リスクも最小限に抑えることができます。
最新技術で実験したい場合は「Gemini Advanced」
機密性の高くない業務で利用するというような場合、「Gemini Advanced」で最新モデルを試すこともひとつの道かと考えられます。
新しいアイデアをいち早く試すことができ、業務利用したい場合でも、「Gemini for GoogleWorkspace」への実装を待ったうえで、実装後にすぐに実行させることが可能になります。