「粗利」が起点であることを共有する

”売上”も大事ですが、”粗利”の意識も非常に重要で、この意識を社内で共有できているかと考えてみることが大事といえそうです。

作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。

目次

付加価値=粗利

買った金額でそのまま売る、では事業が成り立ちません。

買った金額に「一定の付加価値」を乗せたとしても売れるかどうか、が事業になってきます。

この「一定の付加価値」のことを「粗利」といいます。

例えば、物販でいえば、売上から仕入を引いたものです。

換言すると、”会社が世の中に生み出している価値”であり、”世の中からそれだけの価値がある認められていること”ともいえるかもしれません。

粗利とは

例えば、お客様から売上100万円をもらったとしても、その100万円がそのまま給与や利益に反映されるわけではありません。

売上100万円をもらった瞬間、(物販でいえば)80万円の仕入コストも発生・実現しており実際に受け取ることができているのは20万円、ということになります。

この20万円から、さらに給与・家賃などの諸経費・税金・借入金返済をしていくことになります。

その意味では、この「粗利」は会社のお金の流れの起点となる重要な要素です。

もしここで値引きしたとしたら、売上は立っても、粗利が上昇しているかどうかはよくよく注視が必要です。

要するに、売上110万円に増加したとしても、粗利として残る率である粗利率が下がっていて、粗利が17万円になっていては意味がないということです。

また、一時的に粗利が増加していたとしても、低い粗利率の状態では、以前より数量を稼がなくてはならず、体力勝負となってきます。

体力勝負になったときに強みを発揮するのはその業界内でシェアを持っている会社だけなのであって、2位以下、まして中小企業が値引きしても、自分の首を絞める結果となることは目に見えています。

取りこぼしがないかのチェックも大事

まずは経営者として、粗利が大事だという意識を持つことはいうまでもないところです。

仕入に、会社にとって必要な粗利を乗せた売上金額を設定したとしても、お客様に買って頂ける「価値」を作ること。

次に重要なことは、それを社内でも共有するということになります。

売上さえ上がればという意識では立ち行かないことはいうまでもありませんが、一方で、”売上”は分かりやすいバロメーターでもあるので、どうしてもそれにとらわれがちになってしまうのです。それは社員も同様です。

そのため、みんなで事業を行っている以上、経営者だけでなく、社員も上記の仕組みを十分に理解できている必要があります。

そうでなければ、社内のどこかしこで”粗利の取りこぼし”があったとしても、目を向けて改善する取組みをしなくなってしまいます。

もし、イメージしている粗利率と実際の粗利率とが違っているとしたら、どこかで”取りこぼし”があるはずなのです。

どこかに余計なコストが発生しているはずで、その原因をひとつひとつ探り、抽象的ではなく具体的な対策を取っていかなければ、粗利を維持していくことすら難しくなってしまいます。

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