貸借対照表には会社の資産を一覧できますが、そのなかで、すでに意図から離れた経営資源がないか確認したいところです。
井上和弘著「社内埋蔵金をお金にする知恵」(中経出版)を参考として。
意図して所有、意図から離れて所有
事業活動では、最初に「お金」として所有しているものを、「設備」や「在庫」に変えて販売活動を行い、「売掛金」を経て、また「お金」として返ってくるというサイクルをたどります。
事業によって「お金」を増やしていこうと思うと、その途中のプロセスである「設備」「在庫」「売掛金」がどのようになっているかのチェックが必要になってきます。
ここを放置してしまうと、手元に返ってくるはずの「お金」が思ったよりも少ないのに理由が分からない、という状態にも陥ってしまうことにもなりかねません。
最初は意図を持って所有したはずの「設備」「在庫」「売掛金」なども、時間が経つといつの間にかその意図から離れてしまい、埋もれてしまうといったことにもなります。
それらは、「貸借対照表」に記録されているものなので、それぞれ”今の意図”と改めて照らし直し、改めて、自身の意図に合っての所有になっているかを見直したいところです。
手元資金を集めておく
経営資源といわれる「人」「物」「金」ですが、すべての経営資源の起点になるものは「お金」であるといえます。
「お金」を起点とし、「人」を雇ったり、「物」を揃えたりすることができます。
特に、中小企業が大企業とのなかで棲み分けをしていくにあたっては、いかに機動力を持てるかは重要な点ですが、いかようにも動けるようにと考えると、手元の「お金」は多いに越したことはありません。
どのようにチェックすべきか
井上和弘著「社内埋蔵金をお金にする知恵」(中経出版)を参考に、貸借対照表の項目のチェックポイントをまとめてみました。
- 受け取らないようにできないか・なくすことはできないか
- 期日短縮を交渉できないか
- 不渡り等があれば早めに対処し、落とす
- 現金等で早めに回収できないか
- 締切りを月に複数回にできないか
- 回収日を過ぎたお客様への督促を確実に行う
- 回収できない売掛金の方針の検討
- 在庫はお金が姿を変えたもの、と考える
- 在庫管理の効率化(IT導入)
- 棚卸による再確認
- 在庫が膨らまないような工程の見直し(計画性、ライン稼働率)
- 必要なときに必要なだけ仕入れる仕組み
- 納入業者の利用
- 将来の地価動向の見極め
- 外部への賃貸の検討
- 下請け・協力会社への賃貸の検討
- 設備投資減税の利用
- 除却の検討
- 中古機械の購入
- 取引先の株は極力引き受けない
- 投機でないか再確認
- 取引先への貸付けは極力引き受けない
- 法的な契約書を作っておく
- 掛捨てに変更するかどうか
- 美術品など事業に直接関係のない資産はないか
- 利用していないゴルフ会員権はないか
- その他に資産価値のないものはないか