嘘も、言い続けていると真実になることもあります。虚か実か、実に微妙な関係といえます。
河合隼雄「こころの処方箋」(新潮社)を読んで学んだこと。
嘘が本当になる
嘘も、同じことを同じ人に対して、口に出して言い続けていると、いつの間にか真実になっていることがあります。
「これをやります!」と、言った時点では絵に描いた餅の「目標」であっても、繰り返し公言し続けていると、いつの間にか少しずつ近づいていて、いつしか現実化できていたりするのです。
”嘘に終わってしまっては申し訳ない”という心理が働くのか、実に不思議なものです。
ほかにも、他人をほめる場面でも、そういったことが起こることもあります。
その人に対して、まだちらりと感じる程度で本当ともいえないような「長所」も、繰り返し繰り返しその人に対して言い続けていると、やがてその人も意識して、その長所が大成して輝いてくることもあります。
本当間近になると嘘をつきたくなる
上記の逆で、その嘘が真実になりかけると、逆にあえて嘘をついておきたくなることもあります。
目標達成間近!という場面では、直前でもう見えていて真実といってもいいような状況であっても、その段階でそれを口にすると、何となくその目標が逃げて行ってしまいそうな気がして、気が抜けそうな気がして、確実な真実になるまではあえて嘘をついておきたくなる心理になることもあります。
とても不思議なものです。
脱・完璧主義で
そうなると、真実も嘘も含めて、その人の全体(過去・現在・未来も広く)を形づくっているものなので、あながち嘘をつかない!などと決め切ってしまわない方がよいような気がしてきます。
嘘になっては申し訳ない、と、慎重に真実のみを口にしてしまって、「できるかどうか分からない」と公言していると、本当にできるかどうか分からない状態のままで終わることもままあります。
そう考えると、たとえそのときは現実化しておらず、嘘や理想であったとしても、あまり完璧主義にならずに、まずは口に出してみることが大事といえそうです。
それを繰り返し口にすることで、そこに自身にとっての真実味がちらりとでもあるのであれば、少しずつ、思考も、”嘘のままではいけない”と思うようになって、その理想が現実化することがあります。