どの経営数字から何を目的としてどう読み取るのかを定期的に行うことで、経営感覚を磨いていくことができます。
種類も様々ですし、業種によっても異なりますが、今回は例として「小売業」の場合で、どのようなものがあるか。
週ごとの売上と粗利を見る(目的:仕入管理の感覚を磨く)
目的
週ごとに見ていくことで、仕入調整の感覚を磨くことができます。
数字の裏付けで判断していくことで、経営判断に自信を持つことができます。
特に、消費期限があるような仕入などは、特にロス率を低くしていけるかということが経営の死活問題にもなります。
何をどう見るか
見ていく情報
- 週ごとの「売上」と「粗利」
- 前年同時期の週の「売上」と「粗利」
※「粗利」とは、売上から仕入(原価)を差し引いた金額のこと。
業種によっては、 天候や周囲のイベントなどの情報もあった方がよいと考えます。
どう見るか
週ごとに「売上」と「粗利」を見ていくことで、仕入のタイミングをどのようにしていけばよいか見ることができます。
特に、消費期限の短い仕入が多い業種の場合には、ロスの管理が経営に大きく影響してきます。
前年同時期と比較することで、振り返りの視点を持つこともできます。
曜日によって売上金額が変わるような業種の場合、前年同日ではなく、前年同時期の曜日(月~日など)で区切り、見ていく方が比較がしやすいと思います。
週ごとの客数と客単価を見る(目的:傾向から、今後どうしていけばよいかを考える)
目的
数字の推移から、「なぜ?」という視点で見ていくことで、今後何をどうしていけばよいかの感覚を磨くことができます。
何をどう見るか
見ていく情報
- 週ごとの「売上」と「客数」と「客単価(売上/客数)」
- 前年同時期の週の「売上」と「客数」と「客単価(売上/客数)」
売上から仕入(原価)を差し引いた金額のこと。
業種によっては、 天候や周囲のイベントなどの情報があった方がよいと思います。
どう見るか
週ごとに「売上」と「客数」と「客単価」を見ていくことで、”なぜこのときは客数が多かったのか”、”なぜこのときは客単価が高かったのか”という視点で見ていきます。
感覚として持っているものに裏付けを得ることで、今後どのようにしていけばよいかの気づきを持つことができます。
月間売上の推移を見る(目的:上昇傾向か下降傾向か俯瞰して感覚を身につける)
目的
月間という単位で俯瞰することで、数字の推移から、全体の傾向として、上昇傾向なのか下降傾向なのか、原因は想定内のものなのか、今後どのような方向性で行くべきかという感覚を磨くことができます。
何をどう見るか
見ていく情報
- 月間売上
- 過去1年間の月ごとの売上
どう見るか
過去1年間ほどの月間売上の推移を見ることで、自社の売上が上昇傾向になるのか下降傾向にあるのか。
その傾向が、想定内の原因なのか想定外の原因なのか整理することができます。
これまで打ってきた施策のフィードバックにもなりますし、全体の自社の方向性を知る視点にもなります。
粗利率を見る(目的:値付けの感覚を磨く)
目的
経営にとって、値付けはとても難しく、かつ重要な問題です。
値付けの感覚が自分のイメージ通りかどうかの感覚を持つことができます。
何をどう見るか
見ていく情報
- 月ごとの「売上」と「仕入」と「粗利」と「粗利率(粗利/売上)」
- 過去1年間の月ごとの「売上」と「仕入」と「粗利」と「粗利率(粗利/売上)」
どう見るか
仕入値から売値を決めているとして、そのイメージ通りの粗利率になっているかどうかを実際に見ていくことができます。
高付加価値路線で行きたいとイメージしていても、日常の営業のなかで、知らず知らずのうちに少しの値引きをしていたりすることが蓄積されることで、思わぬ粗利率になっていたりもします。
1人あたりの粗利を見る(目的:生産性の感覚を磨く)
目的
店舗スタッフ1人あたり、どれくらいの粗利を担っているかを見ることで、今の人員でさらに売上アップの余地があるかどうか、生産性の改善の余地があるかどうか、人員配置の適正化の目安なども見ていくことができます。
何をどう見るか
見ていく情報
- 月ごとの「粗利率(粗利/売上)」と「スタッフ数」
- 過去1年間の月ごとの「粗利率(粗利/売上)」と「スタッフ数」
複数店舗がある場合は、店舗ごとに比較していく方が望ましいと思います。
どう見るか
例えば、生花店の場合、”1人あたりの粗利”は70万円が繁盛店のひとつの目安と言われています。
このように、業種によって目安となる数字が出ていたりもします。
過去や目安と比較しながら、今の人員でまだ売上アップが見込めるかどうか、生産性(1人あたりの粗利)を上げるべき状態かどうか、上げるとしてどのように上げるべきか、を知ることができます。
営業利益の推移を見る(目的:営業活動全体の利益の感覚を磨く)
目的
粗利は、売上と仕入の差額に過ぎないため、その後の経費(人件費、家賃等)を差し引いた利益(営業利益)の推移を見ていくことで、営業活動全体の利益の感覚を磨くことができます。
何をどう見るか
見ていく情報
- 月ごとの「試算表」
- 過去1年間の月ごとの「試算表」、「年間推移」
どう見るか
人件費、家賃等の経費は、粗利から出ていきます。
粗利とその後の経費とのバランスで、営業活動全体として利益が出ているかどうか、見ていくことができます。
もし利益が出ていない場合には、今後の方向性をどのようにしていくべきか、人員配置やオペレーションなど根本的な改善が必要とされます。