”手離れ”をよくしていくことが、知らず知らずに”客離れ”になっていないか考えてみたいところです。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
手離れがいい
「手離れのいい仕事」とは、文字通り、”手が離れやすい”ことを意味しています。
手離れがよければ仕事に手間がかからないともいえるので、ひとつひとつの仕事の効率は上がり、生産性が高いともいえるかもしれません。
表層上のことや、データだけを追求してしまうと、手離れがよければよいほどよい、と思いがちです。
知らず知らずの客離れ
”手離れがいい”とはアフターケア・フォローアップ・メンテナンスなどが手薄な状態、ということもできます。
つまり、”お客さまとの関係性も希薄で切れやすい”ことをも意味しています。
例えば、対面販売とネット販売とでは、ネット販売の方が対面でない分、手離れはよいものの、ドタキャンも多かったりお客さまのリピートに繋がりにくい傾向があります。
つまり、”手離れがいい”とは、”客離れ”と表裏一体にあり、目先のデータやコストだけに気を取られて安易に一律で判断をしないよう、十分に注視しておきたいところです。
反面、その上で考えてもなおコストに見合わないようであれば、はじめて自社との”関係性”を持っておくに値しないかどうかを個別に判断することになりそうです。
個別判断は難しいものですが、その難しさこそが経営判断の重みともいえるのだろうと思います。
仕事することは、関係を作ること
人間に購入の決定権がある限り、その決定は、”人間の心情”に基づいて行われるものです。
自分にとって価値あるものであるかどうか、満足のいくものであるかどうか。
それとともに、”顔の見える関係性のなかで、会った回数が多ければ多いほど親密になる”ということもまた、人間の心情でもあります。
そう考えると、「定期的に顔を合わせて話をするかどうか」は、とても強い意味を持ちます。
仕事は、つまるところ”人間同士の関係”でもあるので、定期的に顔を合わせていくことを繰り返すことで確実に深い関係が作られますし、その関係性のなかから、リピートや新たなニーズも生まれていくかもしれません。
大企業のように人事異動や転勤の少ない中小企業であればあるほど、そのことは、強みを発揮しやすい分野であるともいうこともできます。