外見的な組織の大小に惑わされず、”組織が小規模だからこそできること”を考えてみると、戦い方も見えてきます。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
大企業の特徴(宿命)
”価格の決定権”という考え方があります。”値決めの主導権”ともいわれます。
ざっくり言うと、”自社が提供したい値段で展開していけるかどうか(=値下げしなくてもやっていけるかどうか)”ということになります。
なんとなくのイメージで、”大企業は高い、中小企業は安い”などと思ってしまいがちです。
そういう状況もあり得ますが、必ずしもそうとも限りません。
なぜなら、大企業には宿命ともいえる大企業なりの事情を抱えているからです。
それは、人件費や家賃などの固定費が大きく、常に一定の粗利金額を稼ぎ続けていかなければならない、という事情です。
雇用を維持しなければいけないため、値下げしてでもとにかく金額を稼がなければならない場合もあります。
また、粗利率の取れる分野だと分かっていたとしても、一定のボリュームが取れなければ全体としての採算が取れないかもしれず、進出には慎重を期す傾向があります。
小規模だからこそカスタマイズしやすい
この点、往々にして、組織が小規模である方が優位である場合があります。
決定すれば速いですし、組織のカスタマイズも容易です。
1つの商品のサイクルを考えてみると、下記のような流れです。
(製造業イメージですが、どの業種にも当てはめて考えることが可能です。)
- 材料・素材
- 設計
- 部品
- 加工の工程
- 組立て
- 卸売する場合
- 小売する場合
- アフターメンテナンス
- 廃棄・リサイクル
このなかで、「どこに特に力を入れるか」「どこは捨ててしまうか(or提携や外注などで対応)」「どこをしっかり握っておくか」「どの技を磨き続けるか」といったことを、経営者の目利きやこだわりによる速やかな意思決定→行動へと、スピーディに展開することが可能です。
また、小規模な分、それに沿った組織のカスタマイズも容易に行うことができるのです。
これは、大企業にはできないorスピードが遅いことでもあります。
決めるのはお客さま
お客さまが”価格と品質が見合っていると納得するかどうか”がすべてだといえます。
きちんと価値を届けることができれば、価格競争に巻き込まれることもなければ、逆に、ファンになって口コミの発信源になってもらうこともできます。