お金は、事業における”血液”ともいわれ、常に滞りなく循環させなければ立ち行かなくなってしまいます。
小山昇著「社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!」(すばる舎)を参考にして。
お金が回っている=血液が回っている
極論をすると、事業の継続という一点だけから考えると、決算書における利益の表示が黒字であるか赤字であるかは関係ありません。
どれだけ黒字でも、支払うべきものが支払えなければ、事業の継続をすることができません。
他方、どれだけ赤字でも、支払うべきものが支払えていれば、ひとまずは事業を継続することができます。
事業においてお金が回っているかどうかは、人間の体で例えると、血液が回っているかどうかに近いところがあります。
血液が回らなくなってしまえば、活動そのものができなくなります。
活動そのものができなくなれば、あらゆる治療や対処も意味をなしません。
貸借対照表は経営者の意思で変えられる
財務諸表のうち、「損益計算書」は、売上から各経費が引かれて利益が残る、というストーリーを上から下にかけて読み取ることができることから、とっつきやすく感じます。
一方で、「貸借対照表」はとっつきにくいイメージを持ちがちです。
しかしながら、「損益計算書」が1年間の累積なのに対して、「貸借対照表」は創業からこれまでのすべての累積で作られています。
銀行も「貸借対照表」をとても重視しますし、事業において、「貸借対照表」への理解は不可欠であるともいえます。
小山昇著「社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!」(すばる舎)の表現として興味深いと感じたことがあります。
同じ決算書でも、P/Lの数字は社長と社員が力を合わせた結果です。未来に向かって計画することができても、過去の結果を変えることはできません。
小山昇著「社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!」(すばる舎)より
一方、B/Sは過去ではなく現時点の状況を示す数字であり、ほぼ100%、社長の意思で決められる。「見たところで変わらない」ではなく、「社長の意思で変えられる」のがB/Sです。
損益計算書は、ある時点からある時点の経営成績を示しているもので、その次の時点からはリセットされることから、参考にすることはできても、”地点”として見ることはできません。
一方で、貸借対照表は、現時点(=とある地点)の状況を示したものです。
その地点をベースにして、具体的に変えていくイメージを持ちやすいという点に特徴があります。
少しでも自分の事業がよくなるように
貸借対照表の仕組みが分かると、”とっつきにくいから一切見ない”から、具体的に”見る習慣”をつけることができます。
貸借対照表の右側には、「事業の資金をどのように調達したか」が載っています。
設立当初、株主がいくら出資したのか。誰から借入しているのか。支払手形は発行しているのか。
左側には、「調達した事業の資金をどのように運用しているのか」が載っています。
現預金はいくら持っているか。在庫はどれくらいあるか。固定資産をどれほど持つか。
これらのうち、見てすぐにでも変えていくことが可能なものは、多数あります。
見ないのではなく、見て”どうしていきたいか”をイメージするだけでその後いかようにも変わっていきます。
よくわからないから見ない、は、自分の事業の首を締めているということと同じ意味といっても過言ではありません。
知ることで、貸借対照表はいくらでも変わっていきますし、その行動の累積は銀行もよく見ています。