給与所得者と事業所得者での違いのひとつに、触れる「金額単位」が挙げられます。
小山昇著「社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!」(すばる舎)を参考にして。
上流と下流
会社員(給与所得者)として働いた後に自ら事業をする(事業所得者)ようになったとき、ぶち当たる壁の一つに「金額単位」が挙げられます。
給与所得者として働いているときには、もらった給与所得から出ていく支出は、主に生活費です。
生活費の場合、家や車など特定のシーンを除き、おおむね金額単位としては”千円単位”を考えています。
一方、事業所得者として事業を自ら行う場合、自らの値付けと営業によって自ら事業収入を得、経費を支払い、その後の利益から、生活費を捻出していくことになります。
事業における売上や経費の場合、金額単位としては、”万円単位”・”十万円単位”・”百万円単位”で物事を考えていくことになります。
会社員から新たに事業を行うようになると、最初のこの金銭感覚への慣れが必要になると思われます。
特に最初は、事業で使う経費は基本的に高いと感じるでしょうし、逆に、事業で得る売上の値付けにも戸惑いを感じ、感覚を掴むのには慣れが必要です。
この感覚に慣れることができないと、思い切った事業への投資の決断ができず、事業が思うように展開していけずにスモールなままになってしまい、顧客からの信頼を得ることができなかったり、思い切った値付けができずに自らの生活費を圧迫してしまったりします。
目線が合わないと噛み合わない
事業のお金の流れを考えてみると、その上流を見ているか、よりその下流を見ているかという違いで、この違いについては認識しておく必要があります。
事業のお金の流れの最初の方(上流)であれば、金額単位は大きいことが自然です。
また、事業のお金の途中の方(下流)であれば、金額単位は徐々に小さくなっていくことが自然です。
給与所得者から事業所得者になるにあたっては、この事業のお金の流れ全般の感覚を掴むことが第一の課題になるのですが、その次の課題として、全体の流れと位置を理解して、その目線・感覚を意識して使い分けることができるかどうかがポイントになってくると思われます。
例えば、従業員と話をするときに、金額単位が大きいままで話をすると、金銭感覚の違いからすれ違いを生む可能性があります。
従業員は給与所得者で、普段イメージしている金額単位は千円単位であったりするため、事業のお金のより上流の百万円単位・十万円単位という話はなかなかイメージがつきづらい部分が生まれるのです。
この点が理解できていないと、目線が合わず、意識が噛み合わない可能性があります。
伝え方を工夫する
従業員がイメージしている金額単位とは異なる金額単位で話をしても伝わらない可能性が高いため、従業員に対して話をする場合には、その伝え方に工夫が必要です。
小山昇著「社長!儲けたいなら数字はココを見なくっちゃ!」(すばる舎)では、社員ひとりあたりに割って話をすることで、会社のお金の単位を個人のお金の単位に合わせ、個人の生活シーンに合わせて話をするなどで工夫をしているという紹介があります。
事業のお金の流れ全体をイメージし、自分自身がどの地点でどの金額単位で物事を考えるべきか、また、相手に伝える必要があるシーンにおいては、相手の立場に応じてその伝え方も工夫してみる必要があります。