自分が伝えたいと思うことがあるとき、相手に”聞き入れる姿勢”がなければ届きません。
そのためには、伝えたいことを伝える前に整えておくべきことがあります。
和仁達也著「コンサルタントの対話術」(かんき出版)を読んで学んだこと、キャッシュフローコーチとして感じたこと。
”何を言うか”ではなく”誰が言うか”
”人が聞き入れるかどうか”という観点で考えてみた場合、重要な判断基準が存在しています。
それは、”何を言うか”ではなく”誰が言うか”、ということです。
話す内容以前に、どのような人がそれを言っているのか、ということで、聞き入れるかどうかがほぼ決まる傾向があると思います。
スポーツなどで考えてみても、そのスポーツのにわかファンが”ああすればいいのに、こうすればいいのに”と言ったところで、たとえその内容が的を得たものであったとしても、聞き入れてもらえるかというとまず難しいところです。
「正当性」を考える
聞き入れてもらえるかどうかは、その人にそれを言う資格があるかどうか、すなわち「正当性」が重要になってきます。
”それを言う資格がない”と思われている限りは、話す内容がどれだけ正しくとも、聞き入れてもらえる可能性はかなり低く、むしろ相手に不信感を持たせてしまったり、あるいは、聞いてすらもらえない可能性の方が高いものです。
つまり、相手に話そうと思う前に、その「正当性」を磨く必要があると思われます。
その際、「その分野を実際に経験する」ことで正当性を持とうと試みることはとても大事なことですし、説得力を持つものでもあります。
しかし、必ずしも何でも”それそのものの経験”によって解決できるというものでもありません。
つまり、”それそのものの経験”が相手に聞く姿勢を持ってもらうための決定打になり得るわけではないということなのだろうと思います。
よって、「正当性」の源を、あくまで、”どのような立ち位置からどのように相手のお役に立てるか”という相手側の観点に立ち返って考えてみる必要があるといえます。
必ず「前置き」する
”どのような立ち位置からどのように相手のお役に立てるか”という相手側の観点に立ってみると、”そもそもなぜ自分はそれを相手に伝えたいと思っているのか”ということをきちんと「言語化」できているか、ということに行き着きます。
どのように相手のためを思って伝えようとしているか、という部分が言語化できていて、かつ、それが相手にきちんと届くようなものであれば、”それそのものの経験”はマストではないといえます。
「(それそのものの経験はなくとも)身近で色々なものを見てきて、どのタイミングでどのようなことが起こるのか分かること、それに対してどのような対策があるかいくつか見てきていること、事前にどのような予防策を講じればよいかも分かってきていること。そのような立ち位置から伝えたいと思っていること。」
つまり、
「どのような立ち位置であるか」「どのようにお役に立てるか」
を、話す内容の前に必ず「前置き」するようにすれば、相手は話の内容の前に、聞くための心構え(”聞く姿勢”)を持つことができ、話がスムーズに進んでいきます。
話す内容を思いつくとなんとなく単刀直入に切り出しがちになりますが、その前に、「どのような前置きをすれば相手が戸惑ったり構えたりせずに聞くことができる環境になるか」もあわせて考えることが重要といえそうです。