起業時には”スモールスタート”したほうがよいといわれますが、”スモールスタート”とは具体的にどのようにすればよいのか。
今井孝著「起業1年目の教科書」(かんき出版)を参考として。
コアの部分だけ作ってテストする
売れるかどうか分からないのに、最初から多額の資金を投入して完全な商品を作ってしまうと、時間もお金もかかり、かつ、売れなければ大変な目に遭うということにもなってしまいます。
大企業であっても、たくさんの人が試作して会議してを綿密に繰り返して新商品を出しても、売れずに消えていくことも多々あるようなものなので、売れるかどうかというのは、市場に出して反応を見てみないと分からないというのが実際のところです。
特に起業時で、失敗を受け止める資金的時間的体力がない場合においては、大きな失敗というのは避けたいところです。
そのため、いきなり完全な商品化をしようとするのではなく、その商品の「コアになる部分」だけを世の中に出し、テストしていくことで市場の反応を見ながら改善していくことで、本格的なリリース時における成功確率を高めることが可能になります。
「コアになる部分」とは、車でいえばエンジンのようなもので、今井孝著「起業1年目の教科書」(かんき出版)における具体例は以下のようなものです。
- 飲食店として本格的に開業する前に、友人に「料理」を試食してもらう
- ソフトとして本格的に作り上げる前に、「主要部分」のみユーザーに試用してもらう
- 車として本格的に作り上げる前に、デザイン部分などはCGで作って見た目を試してみる
- CDとして本格的に作り上げる前に、デモテープで反応を見る
- 本として本格的に作り上げる前に、「企画書・目次」を書いてみる
コア部分をできるだけお金をかけずにまずは試作し、周囲の反応を見ながら精度を高めることで、商品としての成功確率を上げることが可能になります。
まずは他人の商品を扱ってもよい
起業時には、必ず最初から自分のオリジナル商品を売らなければならない!というわけではありません。
まずは、他人の商品を扱う、という選択肢も考えてもよいと思われます。
例えば、”誰かの商品を売ることを手伝う”というものです。
手伝うことで、ビジネスモデルやコネクションを勉強させてもらえる機会でもあります。
最初から絞り込む必要はない
”ターゲットを絞り込まなければいけない”というのが、商品を売るうえでの鉄則ではあります。
ただ、それにとらわれるあまり、いつまでも絞り込めない・絞り込み方を間違えてしまう、というロスやリスクも負うことにもなります。
とはいえ、最初から絞り込み方などは分からない場合も多いものです。
そのため、「最初は絞り込まず、実際にやりながら反応を見つつ、徐々に絞り込んでいく」という方法でもよいと考えられます。
”絞り込む”ことには怖さも伴うものですが、実際にやりながら自分で納得して絞り込んでいくことで後悔もなくなります。
ただし、最終的には絞り込んだほうがよいことには変わりはなく、何がウリか分からないと埋もれてしまいます。そのため、何がウリなのかを明確にすることによって、あるニーズの条件のもとではお客様の目に止まる順位が上がるようにしておいたほうが、結果としてうまくいくのは間違いないことではあります。
もちろん、それは絶対的なものでなく、絞り込まずにあえて総合的にしておくことがお客様のニーズに沿うのであれば、それもまた正解であるともいえます。
どのような商品でも、自分がしたいことの本質は活かすことができる
自分が何によって社会に貢献したいかということについて、あくまで商品というものは”手段”であって、その本質は別にあるということはよくあります。
その商品という手段を通して、お客様にどのような嬉しい気持ちになってもらいたいのか。そこに個性や個々の実現欲が出るというものです。
つまり、どのような商品を売っても、どのような業種であっても、例えば、他人の相談に乗ることが好きな人は他人の相談に乗っているし、アドバイスすることが好きな人はアドバイスしている、ということです。