孫子の兵法(34~35/勢編)

「孫氏の兵法」から学べること。

目次

34)勢編/勢いとタイミングで戦う

原文

激水之疾、至於漂石者、勢也、鷙鳥之疾、至於毀折者、節也、是故善戰者、其勢險、其節短、勢如彍弩、節如發機

書き下し分

激水の疾くして、石を漂わすに至る者は勢なり。
鷙鳥の疾くして、毀折に至いたる者は節なり。
是の故に善く戦う者は、其の勢は険にして、其の節は短なり。
勢は弩を彍(は)るが如く、節は機を発するが如し。

いったんせき止められてから放たれた水が激しく流れて石を漂わすことを、「勢い」という。

鷲や鷹などの猛禽類が急降下して獲物の骨を打ち砕くようなさまのことを、「節」といい、時を得た力の込められた速さである。

戦いがうまい者は、その敵を攻撃するときの「勢」は激しく、「節」は一瞬なのである。

「勢」は弓を引き絞ることで生まれ、「節」はその引き金を発するようなものである。

35)勢編/強い軍隊は、態勢・陣形がしっかりしている

原文

紛紛紜紜、鬪亂而不可亂也、渾渾沌沌、形圓而不可敗也、亂生於治、怯生於勇、弱生於彊、治亂數也、勇怯勢也、彊弱形也

書き下し分

紛紛紜紜(ふんぷんうんうん)として、闘い乱れて乱すべからざるなり。
渾渾沌沌(こんこんとんとん)として、形円くして敗るべからず。
乱は治に生じ、怯は勇に生じ、弱は強に生ず。
治乱は数なり。勇怯は勢なり。強弱は形なり。

勝つ軍隊とは、たとえ味方と敵とが入り乱れて戦うときであっても、隊が乱れて統制が取れなくなったりはしない。
混戦となっても、軍隊の陣形が目まぐるしく変わっても、陣形が乱れて敗れるようなことにはならない。

混乱は収まった状態からであっても生じるし、臆病は勇敢な心理状態からであっても生じ、戦力の強さというのは強い状態からであっても生じる。

混乱してしまうか収まったままになるかは、軍隊の編成方法の問題なのである。
勇敢であるか臆病であるかは、戦いにおける軍の勢いの問題なのである。
強いか弱いかは、軍隊の態勢・陣形の問題なのである。

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