「孫氏の兵法」から学べること。
40)虚実編/敵の隙や弱点を衝く
進而不可禦者、衝其虛也、退而不可追者、速而不可及也、故我欲戰、敵雖高壘深溝、不得不與我戰者、攻其所必救也、我不欲戰、畫地而守之、敵不得與我戰者、乖其所之也
進みて禦(ふせ)ぐべからざるは、其の虚を衝けばなり。
退きて追うべからざる者は、速やかにして及ぶべからざればなり。
故に我戦わんと欲すれば、敵塁を高くし溝を深くすと雖(いえど)も、我と戦わざるを得ざる者は、其の必ず救う所を攻むればなり。
我戦いを欲せざれば、地を画して之を守るも、敵我と戦うを得ざる者は、其の之(ゆ)く所に乖(そむ)けばなり。
こちらから進撃し、敵がこれを防ぐことができないのは、敵の虚(隙・弱点)を衝くがゆえである。
こちらが退却し、敵がこれを追撃することができないのは、追いつけないほどに素早く退却するからである。
こちらが戦いを仕掛け、たとえ敵が砦を高く築き、堀を深く掘っていても、敵が戦いに出てこざるを得ないのは、敵が必ず助けに行かなければならない要所を攻撃しようとするからである。
こちらが戦いを仕掛けようとしないとき、地面に防衛戦を引いて守るという行為のみで敵がこちらと戦えなくなるのは、敵の向かうところと異なる場所に素早く移動しているからである。
41)虚実編/こちらは集中させ、敵は分散させる
故形人而我無形、則我專而敵分、我專爲一、敵分爲十、是以十攻其一也、則我衆而敵寡、能以衆擊寡者、則吾之所與戰者約矣
故に人を形せしめて我に形無ければ、則ち我は専まりて敵分かる。
我専(あつ)まりて一と為り、敵は分かれて十と為らば、是れ十を以て其の一を攻むるなり。
則ち我は衆にして敵は寡なり。
能く衆を以て寡を撃てば、則ち吾の与に戦う所の者は約なり。
敵にはっきりとした態勢を取らせてこちらによく分かるような状況にし、こちらは態勢を隠して相手から分からないようにする。
すると、こちらは兵力を動かして集中させることができ、一方で、敵はこちらの状況が見えずに兵力を分散させてしまうようになる。
こちらが集中して一つとなり、敵は分散して十となれば、こちらは敵の10倍の兵力で攻撃することができることになるのである。
多くの兵力で少ない兵力を攻撃できれば、こちらは有利となる。