「孫氏の兵法」から学べること。
72)地形編/地形「通」
孫子曰、地形、有通者、有挂者、有支者、有隘者、有險者、有遠者、我可以往、彼可以來曰通、通形者、先居高陽、利糧道、以戰則利
孫子曰く、地形には、通なる者有り、挂(かい)なる者有り、支なる者有り、隘なる者有り、険なる者有り、遠なる者有あり。
我以て往くべく、彼以て来たるべきを通と曰う。通なる形には、先ず高陽に居り、糧道を利して以て戦えば、則ち利あり。
地形には、「通」「挂(かい)」「支」「隘」「険」「遠」の6つがある。
「通」とは、こちらも通ることができ、敵も通ることができるような四方に通じた便利のよい地形をいう。
この場合、見通しがよく陽当たりのよい高地を先に占拠し、補給路を確保することで、有利に戦うことができる。
73)地形編/地形「挂」「支」
可以往、難以返曰挂、挂形者、敵無備、出而勝之、敵若有備、出而不勝、難以返不利、我出而不利、彼出而不利曰支、支形者、敵雖利我、我無出也、引而去之、令敵半出而擊之利
以て往く可く、以て返り難きを挂と曰う。
挂なる形は、敵に備え無ければ、出でてこれに勝つ。
敵に若し備え有れば、出でて勝たず、以て返り難くして不利なり。
我出でて不利、彼も出でて不利なるを支という。
支なる形には、敵、我を利すると雖(いえど)も、我出ずること無かれ。
引きてこれを去り、敵をして半ば出でしめてこれを撃つは利なり。
「挂」とは、進むのは簡単だが、退くのは難しいような地形をいう。
この場合、もし敵に備えがなければ、先手を取って進んでよい陣形を作ることで勝つことができる。
しかしながら、もし敵に備えがあれば、進んでも勝つことはできず、逆に退くことは難しいため、不利になる。
「支」とは、こちらが進んでも敵が進んでも不利になるような地形をいう。
この場合、たとえ敵が誘導してきても、進んではならない。このようなときは、味方の軍を引かせて敵の軍が追撃してきたところを反転攻撃するほうが有利となる。