「孫氏の兵法」から学べること。
74)地形編/地形「隘」「険」
隘形者、我先居之、必盈之以待敵、若敵先居之、盈而勿從、不盈而從之、險形者、我先居之、必居高陽以待敵、若敵先居之、引而去之勿從也
隘なる形には、我先ずこれに居れば、必ずこれを盈(み)たして以て敵を待つ。
若し敵先ずこれに居り、盈(み)つれば而ち従うこと勿かれ。
盈たざれば而ちこれに従え。
険なる形には、我先ず之に居れば、必ず高陽に居りて以て敵を待つ。
若し敵先ずこれに居れば、引きてこれを去り、従うこと勿かれ。
「隘」とは、山の谷間など狭い地形をいう。
この場合、いち早くその場所を占拠し、その狭い出入り口に兵力を集中し、敵を待ち伏せするようにする。
もしも敵が先にその場所を占拠し出入り口に兵力を集中していたら、こちらから迂闊に攻撃してはいけない。もし集中させていなければ攻撃しても差し支えない。
「険」とは、高く険しい地形をいう。
先にその場所を占拠しているのであれば、必ず見通しのよい光の当たりやすい高地で敵を迎え撃てばよい。
もしも敵が先にその場所を占拠しているのであれば、軍を退却させることとし、決して攻撃してはいけない。
75)地形編/地形「遠」
遠形者、勢均難以挑戰、戰而不利、凡此六者、地之道也、將之至任、不可不察也
遠なる形は、勢均しければ以て戦いを挑み難く、戦えば而ち不利なり。
凡そ此の六者は、地の道なり。
将の至にして、察せざるべからざるなり。
「遠」とは、遠く離れた場所をいう。
この場合、こちらと敵の戦力が互角であるならば、こちらから仕掛けるのは難しく不利となる。
これらの判断は将がなすべき重要な任務であり、よく考えるべきことである。
76)地形編/敗北に偶然はない
故兵有走者、有弛者、有陷者、有崩者、有亂者、有北者。凡此六者、非天之災、將之過也。
故に兵に走る者有り、弛む者有り、陥る者有り、崩るる者有り、乱るる者有り、北(に)ぐる者有り。
凡そ此の六者は、天の災いに非ず、将の過ちなり。
軍には6つの負けがある。
敗走、弛み、窮地に陥る、自壊、乱れ、敗北。
これらは偶然などではなく、将の過ちによるのである。