浜田岳文著「美食の教養ー世界一の美食家が知っていることー」(ダイヤモンド社)を読んでみました。
浜田岳文さんとは
著者の浜田岳文さんはどのような方かということ、大学を卒業後、南極から北朝鮮まで世界約127ヵ国・地域を食べ歩き、OAD世界のトップレストラン(OAD Top Restaurants)」のレビュアーランキングで2018年度から6年連続第1位にランクインされており、まさに世界一の美食家・フーディーと呼ばれるにふさわしい方です。
YoutubeやInstagramなどのインターネットや雑誌など、国内外メディアで食に関する情報を発信されているほか、株式会社アクセス・オール・エリアの代表として、食関連の会社数社のアドバイザーをされているほか、食関連スタートアップへの出資も行っています。
「美食の教養」は、その浜田岳文さんの初の著書で、400ページ近い大作となっています。
読んでみて
”美食の教養”というと、一見難しいことが書いてあるのではないかと思いがちですが、まったくそんなことはなく、とても読みやすく、ひとつひとつを丁寧に感じ取って読み進んでいきたくなる文章や構成になっていました。
前半では実に身近なことを分かりやすく語られており、例えば、(レストランに限らず)お店の探し方であったり、お店の楽しみ方の軸・よさの感じ方などが書かれています。
後半では、海外の食のトレンドの解説、一流といわれる料理人のこと、将来の予測など、食の業界のトレンドを中心とした一歩踏み込んだことが書かれています。
読んだ後、おおげさではなく、”食に対する考え方・価値観が変わった”ということを実感しました。
食べるとは日常のことですが、それをレストランなどの外食として提供してくださる作り手のこだわり・不断の努力・職人性・創造性(クリエイティビティ)のこと、それをどのように捉えるとよいのか、感じ取るかなどを、”学問”ではなく、まさに感じ取るための実学・教養として幅広く様々な人に届くような著書と感じました。
個人的にも、読後も印象が残り、”フードカルチャー(食文化)”というものを強く意識するようになりました。
ガストロノミーってなんだろう
「ガストロノミー」はフランスが発祥の言葉といわれており、日本語では”美食”と訳されるものの、単なるおいしいものを食べるということをはるかに超えた深い意味を持っていると思います。
さらに、「ガストロノミー」の解説として、”食事と文化の関係を考察すること”とされていますが、これですと抽象的になりすぎており、なんだかぴんと来にくいような気がします。
自分なりに「ガストロノミー」ということを考えてみると、「食べることをアート(芸術)として捉えること」、と感じています。
食を通して、その土地土地の風土・文化・歴史を、単に味覚だけでなく、視覚、嗅覚、触覚、聴覚といった五感をフルに使って感じ取ること、という感覚で、浜田さんの著作においても、「食体験」と表現されています。
食べるということを深める作り手の創意工夫そのものが、表現であり、アート(芸術)であるということ。
そのように考えると、より深く食を捉えることができるような気がしています。