経営の3要素といわれる「ヒト」「モノ」「カネ」ですが、会社の創業からどのように形作られていくのか、成熟期に入った企業で陥りがちな”状態”を避けるにはどうしたらよいか。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
「ヒト」「モノ」「カネ」の順番
経営の3要素として、「ヒト」「モノ」「カネ」が挙げられることが多いです。
「時間」や「情報」といった要素を加える考え方もありますが、それらは「モノ」の派生であると捉えることができます。
創業から成熟に至るまでの”順番”をあえて考えてみると、以下のような順番になります。
「モノ」→「カネ」→「ヒト」
最初に「モノ」(お客様によい価値を産む商品、情報、時間)があり、それを提供することによって「カネ」が回るようになり、さらに「ヒト」を集めることで事業が大きくなっていく、という順番です。
その際に、創業者は、何よりも「モノ」(商品およびそれに伴うお客様との関係性)が重要で、有事には「カネ」が優先することもある、ということを体で学んでいきます。
「ヒト」の集合体の特性
「ヒト」が集まる組織には、普遍的ともいえる”特性”があります。
それは、”ひとたび組織の形が出来上がると、その体制を守るために、変化することを嫌うようになる”というものです。
数十年にわたって事業が続いてくると、ひとたび組織の内側に入った人の習性として、”その体制がずっと続く・ずっと続いて欲しい”と思うようになるものです。
一方で、取り巻く社会の環境もお客様の感性・趣向も、常に変化し続け、世の中の価値観はどんどん変わっていきます。
最初は時代に合っていた事業の体制も、社会・お客様の変化についてゆくことができず、ついにはお客様の支持を得ることができなくなっていきます。
このように「内部:変化したくない⇔外部:どんどん変わっていく」構図によって、組織は生まれては消え、を繰り返していくことになります。
経営者自身が”変化し続ける”という意識を持つ
組織の内部にいればいるほど、変化を嫌うのが人の習性です。
まして、トップより下の組織の内部にいる人であればなおのこと、外部よりも、組織内部の”体制・論理”が優先されます。
経営者が、幹部・社員にどれだけ変化を求めても、上記のように、人の集まりである組織の強烈な習性には逆らうことができません。
経営者自身が「自分こそが率先して変わり続けるのだ」と強く意識しない限りは、この習性に逆らうことはできないものです。