平時の経営と有事の経営で、着眼点を変える

平時の経営と有事の経営では、着眼点を変え、確実に有事のなかでも生き残れるようにしたいところです。

作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。

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いいときも悪いときもある

経営は長期間に及ぶゆえに、いいときもあれば、悪いときもあります。

内部環境によるもの、外部環境によるもの、要因は様々ですが、例えば、現在進行中でいえば、新型コロナウィルス感染症、ロシアによるウクライナ侵攻などによる社会環境・経済環境の変化は最たるものです。

有事に着眼すべきこと

平時には「売上規模」・「収益」・「利益」といった指標が重要で、成長のバロメーターとされます。

これは、”平時=見通しが明らかであること”が前提となって成立する着眼点ともいえます。

平時の明らかな見通しのなかでは、売上規模が大きければ・収益が大きければ・利益が大きければ、それらはいずれ資金化され、そして常に連なっていくことによって、成長をイメージすることが容易です。

一方、”有事=見通しが明らかでない”ことを意味しています。

見通しが明らかでない分、霧のなかを進むようなもので、ひとつひとつの判断が結果に結びつくかどうかが分からない状態であるといえます。

むしろ一手一手が裏目に出ることすらあります。

このような場合には、何よりも「資金」という指標に着眼点を向ける必要があります。

外部環境の変化が激しいときに、変に巻き返そうとして大きな売上・収益を取りにいった場合、「資金」という観点で見てみると、売上金が入る前の初期投資も大きくなる場合が多いので、売上金が入る前に環境の変化に飲み込まれるリスクも大きくなります。

有事において最も信頼がおけるものは手元「資金」で、小さくとも可能な限り短いスパンで確実に資金化できる判断にシフトしておくのがよいと思われます。

また、できれば金融機関などから資金を借りて手元に置いておき正常な心持ちで経営判断ができるようにしておきたいところでもあります。

そして、環境が好転したらすぐに動けるように、平時おそろかになりがちな部分(周囲との関係性強化、商品開発など)に目を向けて、その強化をしておくことで、好転後にすぐに結果を出していけるような体制づくりを仕込んでおきたいところです。

有事の行動例

作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)で紹介されていた、リーマンショック時のとある経営者の行動例は、とても参考になるものでした。

  • いち早く銀行に融資を依頼し、手元資金を厚くして安全を期した。
  • すべての事業所に経営者自らが回り資金的な心配はないこと、今具体的に何をして欲しいかを指示した。
  • 平時には製造一辺倒で後回しになっていた”商品開発”に十分な時間を割いた。
  • 風向きが変わったときに、すぐに販売に動けるような体制作りを試みた。
  • 平時は営業しか赴いていなかった取引先にも、経営者・現場レベルでも積極的に赴き、点ではない面での関係性へと強化した。

上記はリーマンショック後の行動例ですが、現在でも業種を超えて、十分に参考になる事例だと感じます。

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