需要の動向を観察する

価格は”需要”と”供給”のバランスで決まるゆえに、”需要”の動向を常に観察する必要があります。

作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。

目次

価格の主導権

事業において、「価格の主導権を持てるかどうか」はとても大きいものです。

完全に相手の言い値に従わなければならないとしたら、自社の利益がうまく取れないかもしれませんし、事業として不安定になる可能性が高くなってしまいます。

この「価格の主導権」、要は、”需要”と”供給”のバランスでできています。

需要が多く、供給が少なければ、高い値段でも売れます。

一方で、需要が少ないのに、供給が多ければ、値段はどうしても下がってきます。

経営のためには少しでも「価格の主導権」を持ちたいところですし、そのためには需要と供給のバランスを把握しておく必要性が出てきます。

需要の動向を見極める

経営者にとって重要な仕事のひとつとして、”需要の動向を見極められるかどうか”ということが挙げられます。

需要と供給のバランスはずっと一定というものではなく、生き物のように動いているもので、時代とともに変容していきます。

例えば、同じ事業を行っていても、売れ筋の商品は日々変わりますし、中長期的に俯瞰してみると知らないうちに商品が入れ替わっていたというものも多くあることに気づかされます。

供給側としては、需要の動向を常に観察する必要があります。

動向はデータからだけ読み取れるものではありませんし、会社にとって中長期の命運を担う最重要事項であるため従業員任せにせず経営者自身で積極的に考えて動かなければならない部分が大きいものです。

  • 今目の前にある需要の実態が何なのか
  • その需要は強い需要なのか
  • その需要はもうなくなったのか/なくなりつつあるのか
  • お客様の要望・お困りごとは何なのか
  • お客様のお困りごとはどのように変化しているのか
  • 次の需要は何なのか

経営者自身で足を動かし、経営者自身の目で見て、経営者自身の頭で考える必要があります。

経営者自身で情報を集めきれない場合には、従業員に”お客さまから聞いたことを報告する”という具体的な仕組み・指示のなかで、積極的に収集しておきたいところです。

どう判断していくか

情報を集めることで、自社の経営の安定化のためにどうすべきかという経営判断を検討することができるようになってきます。

  • 需要の立ち上がり段階で、早期に参入すべきか
  • 需要のピークを過ぎたと感じたら、どこかで撤退すべきか
  • 需要のピークを過ぎても、最後まで残るべく作戦を練るべきか
  • 変動の少ないニッチな需要を見つけ、それに合わせて最適な会社の体制(品質、コスト構成、人員、設備)を整える
  • 次の商品を準備すべきか、何を準備すべきか
  • 大企業からの受注メインという体制を整えるか(=大企業のその担当者の出世を助けるためには、と発想して動けるか)
  • 大企業を取引相手と割り切り、大企業のお困りごと解決を提案する体制を整えるか

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