お金の流れに直結する「売上の見せ方」「利益の捉え方」「売り方」の選択を誤ると、たとえ売上が上がっていても事業の継続が難しくなる場合があります。
松岡靖浩著「会社をつぶさない社長の選択」(かんき出版)を参考にして。
【売上の計上方法】「総額表示」vs「純額表示」
最初の選択は、決算書に記載する「売上」の表示方法です。
特に代理店業や手数料ビジネスを検討している方は注意が必要です。
| 項目 | 総額表示 | 純額表示 |
|---|---|---|
| 定義 | 販売金額のすべてを売上に計上する | 手数料(利益分)のみを売上に計上する |
| メリット | 売上規模が大きく見え、資金調達に有利 | 会計処理がシンプルになる場合がある |
| リスク | 消費税の納税額が増える可能性がある | 金融機関から実態が不明と見られる可能性 |
総額表示が望ましいと考えられます。
最大の理由は「資金調達(融資・ファクタリング)」です。
金融機関は、売上の規模を事業の体力として評価します。
また、売掛金を現金化する「ファクタリング」を利用する場合、総額表示であれば売掛金全額が対象になりますが、純額表示では手数料分しか借りられなくなります。
経営の安全性を考えるなら、売上規模をしっかり見せられる総額表示を選ぶほうがよいと考えられます。
【利益の考え方】「粗利益を重視」vs「売上を重視」
「売上を上げれば利益は後からついてくる」という考え方は、中小企業においては非常に危険と考えられます。
粗利益(売上総利益)とは、売上から原価を引いた”大元の利益”と表現されます。
ここから人件費、家賃、借入金の返済など、すべての経費を支払っていくことになります。
- 売上重視の”罠”
ある会社は、売上高は年商3億円ありましたが、粗利益率はわずか6%の1800万円ほど。
この金額では社員やアルバイトの給料すら賄えず、結果として大赤字になってしまいます。
どれだけ売上があっても、利益率が低ければ会社は健全ではいられません。 - 視点
しっかりと利益率を確保できる商品とその展開方法を構築し、その上で売上を伸ばします。
粗利益は人間でいう”基礎代謝”と同じであって、これが低いと少しの環境変化で会社の継続が難しくなってしまいます。
【販売チャネル】「自社で売る」vs「代理店を募集する」
営業が苦手な経営者は、”代理店に売ってもらおう”と考えがちですが、ここには大きな落とし穴があります。
自社で販売実績がない商品を、代理店が熱心に売ってくれることはまずありません。
最初は泥臭くても自社で売り、「販売の成功パターン」を確立してから代理店展開を検討しましょう。
- 実績が先
「自社でこれだけ売ってこれだけ儲かりました!」という実績を見せて初めて代理店は動きます。 - 総代理店契約のリスク
大手商社などから「独占販売(総代理店契約)」を持ちかけられた際は要注意です。
独占権を渡すと相手から卸値の値下げを強要されたり、最悪の場合、経営悪化を狙って会社を丸ごと買収(乗っ取り)されたりするケースも考えられます。
