会社の成長や安定を目指す際、経営者は常にどちらを選ぶべきかという”経営判断”を迫られます。
松岡靖浩著「会社をつぶさない社長の選択」(かんき出版)を参考にして。
業務委託か雇用か
事業を拡大する際、かつては社員を雇用して労働力を確保するのが一般的でしたが、現在では業務委託や外注を活用するケースも増えています。
組織づくりの第一歩として「業務委託」と「雇用」とを比較します。
雇用リスクと外注化メリット
社員を雇用する場合、どのような人材が来るかの不確実性や、解雇トラブルのリスク、そして高額な社会保険料の負担といったさまざまな懸念点が存在しています。
一方、外注や業務委託は、これらの不確定要素を抑え、柔軟に対応できるメリットがあります。外注メンバーを上手にチーム化することで、一人社長でも大きな年商規模で安定経営を実現している事例もあります。
「経費の変動費化」は、資金繰りを安定させる
経営を安定させるための基本は、「売上は固定、経費は変動」という考え方です。
- 社員を雇用した場合(=固定費): 売上の増減に関わらず、毎月一定の人件費が発生します。
- 外注化した場合(=変動費): 売上の波に合わせて経費を臨機応変にコントロールできます。
一定の事業規模になるまでは、売上に連動して経費が発生する外注化を取り入れることが、経営上のリスクヘッジとして有力な選択といえます。
固定化リスクを減らし変化に対して柔軟な体制を作ることは、会社を安定へと導く第一歩となります。
正社員か、派遣社員か
労働力を社内に確保する必要が生じた場合、次の選択となるのが「正社員」と「派遣社員」のどちらを選ぶかになってきます。
それぞれの特徴を理解し、自社の業務内容に合わせて適切に選択することが重要です。
派遣社員のメリット・デメリット
人件費の削減や契約の柔軟性を考慮すると、正社員よりも派遣社員の方が雇用調整しやすいという現実があります。
また、社会保険料を派遣元の会社が負担するため、コスト面でのメリットも見逃せません。
一方、派遣社員は自社の社員ではないため、帰属意識が低くなりやすく、突然辞めてしまうといったリスクも伴います。
| 比較項目 | 正社員 | 派遣社員 |
|---|---|---|
| 適した業務 | 裁量の大きい仕事 機密性の高い業務 | 定型的な業務 教育が不要な事務作業 |
| コスト負担 | 固定給 社会保険料の自社負担あり | 派遣料金のみ 社会保険料は派遣元が負担 |
| 会社への忠誠心 | 比較的高い | 比較的低い |
| 情報管理 | 自社で徹底可能 | 機密情報を任せるには制限が生じる場合あり |
顧客情報や重要書類を扱うような情報管理が厳格に求められる業種では正社員が適していますが、定型業務が中心の会社であれば、派遣社員の活用は理にかなった選択となります。
人材確保に”ただ一つの正解”はないため、現状の事業を見直し、変化に対して柔軟な組織を作るために、それぞれの特徴を勘案して選択していくのがよいかと思います。
未来志向であるべきか、 過去の成功体験を最重要にすべきか
人材といった「ハード面」の選択だけでなく、経営者の「思考法」というソフト面の”選択基準”も重要です。
過去の成功体験に固執する危うさ
会社を成長させる過程で、成功体験は大きな自信につながります。
しかし、状況が変化しているにもかかわらず、”昔はこうだった”と過去のやり方に固執してしまうと、変化の激しい現代ではあっという間に時代に取り残されてしまいます。
SNSや動画配信などが当たり前になったように、数年でビジネスの常識は覆ります。
常にアンテナを張り、新しいトレンドを究めている競合に負けないよう、自分のポジションを柔軟に変えていく必要があります。
未来志向の企業は国から支援されやすい
”時代の変化にどう対応すればいいかどうしてもわからない”という場合は、国が毎年発表する「中小企業白書」や「中小企業施策」をチェックするのもひとつです。
国自体、今後の時代の流れに対応できる「未来志向の企業(=成長志向の会社、積極的に設備投資をしてくれる会社)」を優先的に支援する傾向にあります。
具体的には、以下の3つの施策が注力されます。
- 補助金や助成金
- 融資
- 税制優遇
大企業ですら過去の成功に囚われず、将来を見据えて事業の方向性を大きくシフトしています。
小回りが利く中小企業こそ、国が求める方向性を把握し、未来志向で事業を進めることが、会社をつぶさない最大の防衛策となります。
