曖昧な指示や問題の先送りを繰り返すことで問題そのものが大きくなってしまうよりは、計画の範囲内で失敗しつつも成功を繰り出していくという志向を持ちたいところです。
作間信司「一倉定の社長学」(プレジデント社)を参考として。
「経営計画」は何のためにするのか
「経営計画」は、なぜした方がよいのか。無計画がなぜいけないのか。
色々な捉え方があると思いますが、「経営計画」とは、目標・課題を明らかにし、それに向けて行動していくという指針であるといえます。
あらかじめ目標や課題を明らかにしておけば、”対応や決定が遅すぎてどうにもならない状態”を、かなりの確率で防ぐことができます。
無計画下での曖昧な指示・問題の先送りの弊害
一方で、無計画では、その場その場で決定していくことになります。
まず全体としての統一性・連続性(→目標)が図られているかどうかの確認を取ることも難しいという状態に陥りがちです。
そして何よりも、人間誰しも、得意なことはすぐに対処する一方、苦手なことは先延ばしにしがちです。
早めに課題として認識し、対処しておけばクリアできていたものが、先延ばしにしたばかりに、取り返しのつかないことになっているということも、十分にありえます。
計画を立てておけば、曖昧な指示・問題の先送りを、かなりの程度で防ぐこともできます。
計画内での試行錯誤は、経営者にしかできない
計画を立てることで目標や課題を明らかにし、それへ向けて「小さな決定」を積み重ねていくということが理想的だといえます。
曖昧な指示を繰り返して先送りしてしまうと、いつの間にか課題が膨れ上がり、否応なしに”大きな決定”をせざるを得ない状況が訪れることになります。
”大きな決定”となればなるほど、「失敗が許されない確率」も高くなってしまいます。
また、経営者自身がすべき決定を、幹部や現場に丸投げしてしまうような場合には、幹部・現場はその立場上、責任の追求を恐れるがゆえに”守りの一手”に終始し、ひたすら内部管理をこね回していくという方向性を進むことになります。
結論として、「決定」というものは、経営者にしかすることができず、かつ、そこから逃れることができません。
未来に対して、常に正解を決定していくことなど誰にもできないことですし、であるのならば、最初から、失敗することも想定に入れておいた方が現実的でしょう。
かつ、可能な限り、失敗することが会社にとって致命的にならないように、常に「経営計画」を立て、会社の目標・課題を明らかにし、経営者がそれらへの「小さな決定」を繰り返していくことによって、
成功や失敗を積み重ねながらも、長い目で見た場合には、安定的に会社を成長させていっている、という絵図を描くことができるのだろうと思います。