AIが書いた文章を読むと、「間違ってはいないのに、どこか自分の言葉ではない」と感じる場面があります。結局ぜんぶ書き直していた時間が、過去の投稿を2〜3本渡すだけで5〜10分の作業に変わるということが書籍で紹介されていました。
ひつじ・染谷昌利「あらゆる仕事が爆速化する Claude Code徹底活用術」(日本実業出版社)を読んで。
「間違ってはいないのに自分らしくない」文章が生まれる理由
AIの文章は「無難な最大公約数」になりやすい
AIに文章を頼むと、文法も内容も整った文章が返ってきます。
ただ、そこには誰が書いても通用するような「無難さ」が残りがちです。
一人称、語尾、言葉の硬さ、よく使う言い回しといった書き手ごとの癖は「自分らしさ」を決める大事な要素ですが、指示がなければAIは平均的な書き方に寄せるためと考えられます。
毎回「全部書き直す」ことになるコスト
内容は合っているのに言い回しが違う、という理由で書き直しを重ねると、AIに頼んだ時間がそのまま手直しの時間に置き換わってしまいます。
投稿のたびにトーンがばらつくことも、発信が続きにくくなる一因になると思われます。
経営者の発信では、文体が「らしさ」そのものになる
ブログやSNS、お客様へのメッセージは、内容と同じくらい、書き手の声が伝わるかどうかが印象を左右すると考えられます。
とくに経営者や個人事業主の場合、読み手はこれから取引を考えている人や、すでに関係のあるお客様です。
誰が書いても同じような文章より、「この人らしい」と感じられる文章のほうが、信頼を積み上げやすいと思われます。

過去の投稿2〜3本から、「自分らしさ」を5項目で言語化する
用意するのは、自分らしさが出た過去の文章だけ
材料は、過去に書いた投稿を2〜3本です。
反応がよかったXの投稿、ブログやnoteの記事、社内向けに書いた文章など、「自分が書いた」と分かる文章であれば構いません。
まだ発信を始めていない場合は、最近考えていることを自由に書いた数百字の文章を2本用意します。
きれいに整える必要はなく、そのまま貼り付けて問題ありません。
5項目に整理して、1枚のガイドにしてもらう
仕事用のフォルダでClaude Codeを開き、貼り付けた投稿から文章の特徴を読み取って、あとで再現できる指示書にまとめるよう依頼します。
ガイドに入れてもらう項目は、次の5つです。
- 一人称と語尾
:「私」「僕」の別や、「です・ます」「だ・である」の傾向 - 言葉の硬さ・柔らかさ
:専門用語の使い方や、たとえ話の多さ - 口調・リズム
:一文の長さ、改行の入れ方、絵文字の有無 - よく使う言い回し・好きな言葉
:無意識に出てくる表現や、締めの言い方 - 避けたい表現
:使わない言葉や、自分に合わないトーン
返ってくるガイドは「文体の設計図」になる
書籍の例では、「個人発信」というフォルダに「発信トーンガイド.md」というファイルが保存されます。
中身は、「一人称は『僕』で、読者には『です・ます』で柔らかく語りかける」「断定しすぎず、『〜だと思う』で余白を残す」「一文は短めにして、改行で余白をつくる」「煽りや上から目線の言い方は避ける」といった具体的な内容です。
これが「自分の文体の設計図」になり、以降はXでもブログでも、このファイルを読ませるだけでAIっぽさの抜けた文章が返ってきます。

使いながら育てて、いまの自分に近づける
「自分らしくないな」と思った言い回しは、その場で足す
発信を続けていると、「この言い回しは自分らしくない」と気づく場面が出てきます。
そのときは、Claude Codeに「発信トーンガイドに〇〇を足して」と依頼します。
最初から完璧なガイドを目指す必要はなく、使うたびに足していくことで精度が上がっていきます。
反応のよかった投稿の特徴を書き足していく
よく読まれた投稿や、反応のよかった投稿が出てきたら、その特徴もガイドに書き足していきます。
どんな書き出しだったか、どんな言葉が使われていたかを追加していけば、ガイドは「過去の自分」ではなく「いまの自分」に近づいていきます。
読み手の反応を材料に加えることで、ガイドが単なる好みの記録ではなく、読み手に届いた書き方の記録にもなると考えられます。

経営者なら、ブログもSNSも挨拶文も同じ声でそろえられる
ガイドは、ブログやSNSだけでなく、お客様へのご案内や挨拶文など、自分の名前で出す文章に広く使えます。
媒体が変わっても同じガイドを読ませるため、文章ごとのトーンのばらつきを抑えやすくなると考えられます。
ただし、ガイドが整えるのは文体であり、数字や制度の内容が正しいかどうかの確認は、これまでどおり書き手自身が行う必要があります。
「自分らしさ」の基準が言葉として手元に残っていることが、AIに任せられる文章の範囲を広げる条件だと思われます。
