銀行は、貸借対照表をどのように見て、どのようなことを疑問に思うのか。
川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)を参考として。
目次
貸借対照表への見方
銀行が貸借対照表をどう見るか。川北英貴著「銀行からの融資完全マニュアル」(すばる舎)においては、以下の2点が挙げられています。
- 債務超過でないかどうか
- 借入金規模はどうか
債務超過は、”実態”でも見られる
融資先が「債務超過でないかどうか」は、銀行にとって大きいといわれています。
債務超過でないかどうかは、”貸借対照表”でもって見られるのですが、貸借対照表に記載されている資産・負債は、必ずしも換金価値(=返済能力)があるものであるとは限らないため、銀行は形式的な面で債務超過であるかどうかを確認した後、実質的な面でも債務超過であるかどうかを確認するといわれています。
資産の実態評価
- 「現金」
→現実的に想定されうる残高になっていない場合、資産としての実態から外される可能性あり - 「売掛金」
→①月商に対し何ヶ月分の残高か(入金サイクルと突合)、②滞っている取引先がないか(内訳書で確認) - 「棚卸資産」
→①年間仕入高に対し何ヶ月分の残高か、②業界平均との比較、③売れ残りがないか、④架空計上していないか - 「未収入金」「未収収益」「前払費用」
→滞っている残高はないか - 「貸付金」「立替金」「仮払金」
→①滞っている残高はないか、②役員に対するものはないか、③関係会社に対するものはないか - 「有形固定資産」
→①土地は時価との乖離がないか、②減価償却しているか、③減価償却に不足額はないか - 「無形固定資産」「投資その他資産」「繰延資産」
→①ソフトウェアは自社でしっかりと利用されているか、②関係会社に対するものがないか、③残高に換金価値があるか、④繰延資産は償却しているか、償却不足はないか
負債の実態評価
- 「買掛金」
→①年間仕入高に対し何ヶ月分の残高か(支払サイクルと突合)、②多すぎる場合、支払遅延があるのではないか - 「未払金」「未払費用」「預り金」
→①給与を支払遅延していないか(支払サイクルと突合)、②税金や社会保険料の滞納がないか - 「前受金」「仮受金」
→適切なものかどうか - 「短期借入金」「長期借入金」
→①支払遅延していないか(返済予定表と突合)、②簿外債務がないかどうか