銀行との取引・関係性を踏まえた預金シェアになっているか定期的に確認しておきたいところです。
諸留誕著「顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック」(日本法令)を参考にして。
銀行は預金シェアを気にする
銀行は、以下の理由から、融資先の総預金額のうち自身の銀行がどれくらいのシェアを占めているかを気にしているといわれています。
- 預金は、融資に対する”担保”のような役割を持っていることから、万が一のことがあっても回収できるという安心感を持つことができる
- 実質金利が上がり、収益性が上がる
(「融資-預金」が実質的な貸出額であり、それに対する利息収入の割合(実質利率)は高くなる)
これらを踏まえておくことで、銀行との関係性もよりよくなり、赤字など多少状況がよくなくとも、手数料収入があるなどの点を考慮してくれ、結果、融資に応じてもらえる可能性も高めることにも繋がってきます。
銀行との関係性を踏まえた対応
借入シェアに合わせる
「預金シェア」を、「借入シェア」に合わせることで、納得感を持ってもらうことができます。
具体的には、借入金全体のその銀行からの借入金の割合を出し、預金額もその割合に合わせるというものです。
取引シェアも合わせる
「預金シェア」に対して、「取引シェア」を合わせることで、銀行側の手数料収入という意味において、さらに納得感を持ってもらうことができます。
また、リアルタイムで取引状況を把握できるという点でも納得感を持ってもらいやすくなります。
具体的には、預金シェアに合わせて、入出金取引の割合を合わせるというものです。
入出金取引とは、具体的には、以下のようなものです。
- 売上代金の入金
- 仕入代金の支払
- 各種経費の振込み
- 給与振込み
特に、「給与振込み」については、毎月安定的な取引が見込めるほか、それを通じた「各従業員の口座開設」「各従業員の住宅ローン」「各従業員の教育ローン」などへの波及効果も期待できることから銀行側も興味のある取引であるといわれています。
公庫融資金をどこに預けるか
公庫から融資を受けたとき、その融資金をどの銀行口座に預けるかは大きな意味を持っています。
なんとなくで決めず、上記の「預金シェア」の視点から決める、これから取引をしていきたい(融資をしてもらいたい)銀行へ預けるなどの選択をすることができます。
預金とは、”会社が銀行に対してお金を貸している”と捉えることもでき、何かある際の銀行交渉(金利、担保、保証解除など)に大きく影響を及ぼしてくるとも考えられます。
社長個人の預金をどこに預けるか
会社の預金だけではなく、それにまつわる個人の預金も、銀行にとっては大きな関心事といえます。
社長個人の預金をどの銀行に預けるか、という点も、メインバンク、これから取引をしていきたい銀行などの観点から、戦略的に検討したいところです。